早速、父から呼び出しがかかった。
要件としては「書類を受け取る」だけなのだったが、翌日に母の趣味仲間が線香をあげに来るから、部屋の片づけを手伝って欲しいと。
おい。
この間まで絶縁状態だったんだぞ。
だからこそなのかもしれんが、私だって暇ではない。
仕事をしてないぶん時間に融通は利くが、暇とは違う。何かを後回しにしなくてはならないということを理解して欲しい。
などとちょっと困惑、というか立腹の手前であった。
人の都合を考えない。
頻繁に会いたがる。
昔からそうであった。
距離感の手綱はこちらが持たないと、疲弊しきってしまう。
ある程度はこちらも強気に出なくてはならない。
とは言っても、こんな時だ。
助け合ってと言ったばかりではなかったか・・・。
こんな気持ちで父と会い、私はまたかなり悲しい気持ちになった。
父に悪気は全くない。
そして父は、寂しいのである。
昼は一緒に食べられないのか。
夜はダメなのか。
車じゃビールは飲めないか。
コーヒーでも飲んで・・・。
しかし私にも、私の生活がある。
これを振り切ることの罪悪感よ。
十数年ぶりにまともに向かい合った父は、すっかり老人になっていた。
相変らずふてぶてしいところはあっても、はかない存在になってしまった。
やがて私はまた、この父をも失うだろう。
母の事を思い出すように、今この瞬間の事を思い出す日が来るのだ。
昼は一緒に食べられないのか。
夜はダメなのか。
車じゃビールは飲めないか。
コーヒーでも飲んで・・・。
精一杯やらなければ、私はきっと後悔する。
一日経って、また父から電話がかかってきた。
「せっかく片付いたんだから、どうせならすぐにみんなで一度集まろうよ。今週末とか。」
・・・・・・どうしたもんかのーEE:AEB64