人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

そして、父。

早速、父から呼び出しがかかった。

要件としては「書類を受け取る」だけなのだったが、翌日に母の趣味仲間が線香をあげに来るから、部屋の片づけを手伝って欲しいと。

おい。

この間まで絶縁状態だったんだぞ。

だからこそなのかもしれんが、私だって暇ではない。

仕事をしてないぶん時間に融通は利くが、暇とは違う。何かを後回しにしなくてはならないということを理解して欲しい。

などとちょっと困惑、というか立腹の手前であった。

人の都合を考えない。

頻繁に会いたがる。

昔からそうであった。

距離感の手綱はこちらが持たないと、疲弊しきってしまう。

ある程度はこちらも強気に出なくてはならない。

とは言っても、こんな時だ。

助け合ってと言ったばかりではなかったか・・・。

こんな気持ちで父と会い、私はまたかなり悲しい気持ちになった。

父に悪気は全くない。

そして父は、寂しいのである。

昼は一緒に食べられないのか。

夜はダメなのか。

車じゃビールは飲めないか。

コーヒーでも飲んで・・・。

しかし私にも、私の生活がある。

これを振り切ることの罪悪感よ。

十数年ぶりにまともに向かい合った父は、すっかり老人になっていた。

相変らずふてぶてしいところはあっても、はかない存在になってしまった。

やがて私はまた、この父をも失うだろう。

母の事を思い出すように、今この瞬間の事を思い出す日が来るのだ。

昼は一緒に食べられないのか。

夜はダメなのか。

車じゃビールは飲めないか。

コーヒーでも飲んで・・・。

精一杯やらなければ、私はきっと後悔する。

一日経って、また父から電話がかかってきた。

「せっかく片付いたんだから、どうせならすぐにみんなで一度集まろうよ。今週末とか。」

・・・・・・どうしたもんかのーEE:AEB64