人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

死ぬまでに食べたい味

それは衝撃の味だった。

今年はじめに、以前勤めていた会社の友人・さとちゃんの家に遊びに行った話を書いたが、その味噌汁である。

具はシンプルにあおさのみ、なのにもの凄く美味しかったのである。

彼女曰く、いいダシを使ってるからとの事だが、こんなに美味しいものをダンナが知らずに死んでいくのは、食を預かる妻として忍びない。

そこでその後、味噌汁のダシについて色々調べてみたのであった。

彼女は「いいダシ」を使ってるから、と言ったが、何もいいダシを使わなくとも今より美味しくなるはずである。

なぜなら私は、ダシの素しか使ってこなかったからである。

いや、自分でのその事実に驚いた。ちゃんとやってた頃はなかったのか??そのうち面倒になって止めちゃったんじゃないかと漠然と思っていたが、思い返してみると、煮干がうちにあったことは過去に一度しかない。そしてその煮干は放置され、使わぬまま廃棄となった。思い出したくない過去である。

昆布は他に使い道があるので常備してはある。しかし味噌汁のダシになど使った事はない。

つまり、私は味噌汁のダシをとったことがないのである。例外を除いて。

言い訳がましくなるが、一応例外はあるのだ。

魚のアラやエビの殻が出た時だけは、それでダシを取る。もの凄く美味しい。

つまり、もの凄く美味しいダシか、顆粒のダシの素かのどちらかなのである。

ここらでちょいとしっかりしたダシで味噌汁を作って、驚かせてやろうじゃないか。

ネットで調べたところ、一般的な味噌汁のダシは2種類。

昆布と鰹節で取る一番だし・二番だしと、煮干で取るいりこだし。

煮干は前回のトラウマがあり、またもう一度全部捨てるような事になるのが怖かったので、昆布&鰹節でいくことにした。

簡単だ。

昆布をしばらく水につけてから火をつけ、沸騰前に取り出して鰹節をIN、フンワリ上がってきたら取り出す。以上。

注意点は煮込まないこと。へー、なんかもったいないけど。

ハイ、そんな人のために、二番だし。

取り出した昆布たちを、今度は煮込むのである。

ただし市販の鰹節は一番で果てるとされているので、鰹節は追加だ。

ケチにとって二番ダシは取った方がいいのかどうか。難しい問題である。

結局使う予定がないので追加の鰹節がムダになると判断、今回は一番ダシだけでいく。

いや~~~、美味しいねEE:AEAAB

味というか香りというか、二次元味噌汁が三次元になった感じである。

私はこの三次元味噌汁を、黙っていつも通りに食卓に出した。

時に昨日の夕食は、冷やしそばとサラダと豆腐と肉の焼いたものであった。

ダンナはまずそばを食べ始めた。

そばを食べる。

そば。

そば。

そば。

ちょっと、冷めちゃうよEE:AE5B1早く飲まないかしらもう。

次に手をつけたのは肉だ。

少し食べるとそばに戻り、やがて本腰入れて豆腐を食べ始めた。

張り切ってダシを取ったという先入観なしに味噌汁を飲んで欲しかったので、私はじっと黙っている。

「この豆腐、うまい。」

そう言って豆腐を食べ切ると、またそばに戻り、そばを食べ切ると延々サラダを食べ、もうすっかり冷め切ってからやっと味噌汁を飲み始めたのだ。

この順番、まるで味噌汁に期待していない順番である。

そんなダンナは一口飲んで、「あ。」と言って顔を上げた。あ!?さぁさぁどうしました??

「あおさうまいEE:AE595

ガーン。

確かに、ちょっと奮発して買ったあおさを、私も入れてみました。それが仇になって、そっちに持ってかれてしまったか。

というか、そもそもダシ云々、分かってるのか!?

ダンナの感想は「あおさうまいEE:AE595」だけであった。

ダンナの味覚がその程度なのか、人間の味覚がそもそもその程度なのか、あおさがうま過ぎたのか、昆布か鰹節がいけなかったのか、私のダシの取り方がいけなかったのか、一番だしもだしの素も大差ないのか、つまらない結果である。

ところで実家にいた頃の我が家の味噌汁のダシは、煮干であった。

そのまんま具と一緒に入っていた(笑)

今度は煮干で挑戦してみるか。