人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

3年目のタイムアタック

午後から雨とな。買い物は午前中に済ませてしまおう。

昼ご飯を食べるとテキメン眠くなるので、いつもなら昼食後にすかさず買い物に行くようにしている。

空腹時に買い物をすると、余計なものまで買ってしまうから注意、と節約の本に書いてあったが、まさに昼食前、11時半に家を出た。

水菜、シーチキン、朝食用の魚。買い物リストに書いてあったのはそれだけだったが、ここに納豆、お茶漬け、インスタントの味噌汁、ノンアルビールが加わった。まぁマシな方だろう。

レジに向かう。列の少ないところへ、滑り込むようにして加わる。

あ。

バッグを覗いて思い出した、財布入ってないじゃん!

昨日出掛けた時に、違うバッグに移したままであった。

素早くレジの列から抜けると、サービスカウンターに向かった。

このスーパーではなかったが、やはり財布を忘れた時に、サービスカウンターでカゴを預かってもらった事があったのだ。

カゴに入れたものをいちいち戻して、来てからまた入れていくのはダルいし、納豆などリストに書いてないものを忘れずに入れられるか不安である。

「??」

サービスカウンターではふたりの女性が何やら話をしていたが、私を見て揃ってこちらを向いた。

「あのー、財布を忘れてしまって、取りに戻りたいのですが、これを預かっていただくことできますでしょうか。」

思いがけず相手のリアクションは鈍かった。

変な顔をして言葉を詰まらせていたので、「すぐに戻ります。近いので。」と付け加えると、やっと無理に笑ったような顔になった。

「すぐ・・・、ですか。」

「はい、5分もあれば、戻ります。」

「5分・・・。」

沈黙。

「5分・・・、ですか?」

そこ、はっきりせんといかんのかEE:AE5B1

「はい、5分ほどで。」5分じゃ無理だ。

無理だが、早めに言っておいた方が、引き受けてくれそうだと思ったのである。「近い」という意味なのだが。

「一応、生ものが入ってますので・・・。」サバか。構わんてEE:AE5B1家に帰ったってどうせしばらくほったらかしなのだ。

「私、全然そういうの気にしませんからっ!!」

相手、絶句。そういう意味じゃなかったか。

「5分ですね。」

もう引けるかッ。

「はい、5分で。」

早歩きで店を出ると、自転車をかっ飛ばした。

うわっ、こんなにスピード出すの、何年ぶりか!?

仕事をしていた当初は、いつも時間ギリギリで出社していたからしょっちゅうかっ飛ばしていたが、もしかしてあれ以来!?どんだけのんびり暮らしてたんだっつーのEE:AE5B1

スピードが上がれば、それだけ反射神経が求められる。

信号!!人!!車!!曲がり角!!段差!!ヒョー、おっかないEE:AEB64免許取りたてで乗った高速じゃないか。

フゥ・・・、フゥ・・・、暑いEE:AE5B1Wii Fitでもかかない汗を、ジンワリとかき始めた。

スピードが上がったせいでいつもの信号のタイミングにならず、うまいこと青信号が続く。

これはいいタイムがはじき出せそうだ。

当たり前だが、サービスカウンターの係はキッチリ5分はかってなどいなかった。

時計がなかったので何分で戻れたのかは分からない。

分かったのは、別に5分以内じゃなくても良かったのだろうという事だ。

私が最初に意図した通り、「早く戻れ」という意味だったのだろう。

カゴは速やかに、私の手に戻された。

帰りはいつものように、ゆっくり帰った。

それでも私は、何人かの自転車を追い越したのだ。

日中のスーパー付近の時間は、流れが遅いのである。

会社を辞めて2年半が経っていた。