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「12時50分に新宿南口」。
昨日はポール・マッカートニーのライブであった。ダンナは仕事を半休にし、昼に待ち合わせることにしたのだ。
時間はたっぷりある。
食べ放題でお昼を食べたら楽器屋でダンナの買い物をし、その後はハンズで私の買い物をしてから早稲田にお墓参り、それでも時間が余ったらノンビリ過ごそう。そんな予定であった。
12時50分に新宿か。
Yahoo!の路線検索で、時間を調べておく。
12時50分着、秋津~新宿。
11時55分の電車か、もう1本早ければ11時47分の電車か。
それなら11時半に家を出ればちょうどいいだろう。余裕があったらもっと早く出て、ひとりで買い物でもしよう。
まるで休日モードだ。
家事をする気はなく、ただひとつ、決定的な目標は「ポール・マッカートニー」だけなのであった。
家事を投げたので、やるべきことはふたつに絞られた。ゲームとブログの更新である。
一日出かけてしまうので、今日の分のブログの下書きを自動投稿にしておかなくてはならない。
そしてあわよくば、ゲームができればゲーム記事のストックもできる。
そもそも今週は朝起きれずに、例の朝ゲーが全くできないでいた。
その分は夜になるのだが、ライブから帰ってくるのは11時を回る時間が予想される。
今やらなくてはチャンスがないのである。
余計なことに限ってのめり込みやすいので、後で慌てないで済むように、出かける準備を先に済ませておく。
着替え、バッグの準備、簡単な食事。化粧を残して準備完了。後はブログとゲームだけだEE:AEAA6
天気はいいし、食べ放題だし、ポールだし。とてもハッピーであった。
2時間かけてブログの下書きを終え、30分ゲームをやり、30分でその内容を下書きした。
まだ30分残っている。化粧をしたら、もう家を出てしまおう。たまには早く行って、ひとりを楽しむのもいい。
それなのにダンナからメールが来て、「まだ家?!」である。せっかちな人だ、急いで行ってもそれだけ早くポールに会える訳ではない。
そんな彼を安心させるように「ぼちぼち出るよ」と返事をし、後のメールは駅に着くまで無視して自転車をすっ飛ばす事にした。
ところで自転車をこぎながら、私はちょっとした間違いに気付いたのだ。
私がこれから行くのは「秋津駅」、普段ダンナと飲むのは「新秋津」、近いがちょっと離れている。
つい習慣で、新秋津に行く感覚で家を出てしまった。ヤバい、そういえば、自転車を駐輪場に止めてお金を払わなくちゃなんないじゃん!そういう時間も計算に入れてなかった。
そもそも私が知ってる駐輪場は、駅からちょっと離れていた。
待ち合わせは12時50分、レストランの予約は1時。電車が1本遅れただけでもアウトだ。
やっ、ヤバい、これはかなりヤバい、こうなったら駅までのコースを最短で行くことにしよう。
私はいつも、「極力上り坂の少ない」というコースを選んでいた。
ダンナの通勤コースが最短のはずだ。
しかし私はまだその道を通ったことがない。というか、その道を知っているのかどうかも怪しい。
通勤の話に良く出てきた場所を選んで、勘で進む。
多摩北部医療センター、全生園。良く猫がいる全生園の裏。ここを通って秋津に行く道だ。そう果てしなくもないはずである。
果てしなくはなかったが、全生園の中がところどころ工事で通れなくなっていて、遠回りさせられた。
冷や汗。こぎまくってる体はマジ汗。
ダンナはこんな事になってるとは知らず、今頃「EE:AE5BE」「EE:AE5BE」「EE:AE5BE」とかなってるんだろうなぁ。
駐輪場からは走る。こんな状態でも駅前の立ち飲み屋に反応してしまう自分が情けない。
走りながらパスモを出し、改札を抜けながら時間を見る。
50分だ。
1本早い47分発は逃したが、55分のには間に合った。良かった。
ホームに立ち、携帯を出す。もう電車に乗れることを、早くダンナに知らせてやろう。
携帯を開くと(まだガラケーなのである)、ダンナから意味不明のメールが2つ来ていた。
その1。「レストランの予約は時間変更した方が良いねEE:AE5B1電話しておくので、状況を教えてください。」
その2。「新宿着。どこにいますか?」
何を言っているのか、この人は。と思いつつ、こういう時はいつも自分が何か間違いを犯していることを、本能的に思い出す。
予約を変更しなくてはならない事態とは?間に合わないということだろうか。
それにしてもダンナはもう新宿?
もう間に合わなくて、ダンナが新宿にいるという事態。
私は時計を見た。もうすぐ55分だ。間違いない。
しかし、
12時55分であった・・・・・・。
頭が真っ白になった。なんでっ!?私はいつから何を間違えていたのか。
55分の電車は間違いない。
最初から1時間間違えて、12時55分を目指していたのか。
いや、でも路線検索では12時50分という数字を入れた記憶がある。そして家のメモにも11時55分発、という文字を書いた。
ええと、ダンナから12時過ぎにメールが来て、ああ、それで「まだ家!?」って言ったんだ、でも私はまだ余裕があったから、12時55分を目指していたということになる。
あぁ、全くもって訳が分からん。
色々考えてみたが、恐らくゲームやらブログやらやっているうちに、いつの間にか私の頭の中で「11時55分」が「12時55分」に変換されてしまったのだろう。待ち合わせが12時50分なのに、12時55分の電車に乗るという奇行に、全く気付かなかったということである。
もうどうにもならないので、12時55分の電車に乗った。後は電車が定刻に着くのを待つしかない。
持ってきた本を広げる。
「バカの壁」というタイトルが痛かった。