今回は1曲だけ、それもコーラスのお手伝いという、非常に小さな部分参加であった。
にも関わらず、今回の経験は、私の音楽活動に大きな変化をもたらすことになりそうだ。
謙遜なんかでなく、私は何をやっても下手である。
一応担当はボーカル、手が欲しい方には鍵盤でお手伝いする事があるが、そのどちらも下手だ。
長く続けることによって、若干の上達はあったが、周りのレベルに比べたら誰も気づかない程のものである。
それでも私は歌うことが好きだし、みんなと一緒に音を出すことも好きなのである。これで満足していた。
多くは望んでいなかったのである。
言い換えれば、無理をしてまで上達する気はなかった。
なので技術的に難しい部分が出てくると、自分でもできるようにアレンジしてしまうかノリで押し切るかで切り抜けていた。
それで良かったのである。私は。
ところが今回のコーラスは、ハードルが高かった。
これまでなら私の歌えるようなハモりに置き換えたりするのだが、コーラスは4人いるのだ。勝手に私が歌い方を変えると、他の3人との兼ね合いが変わってきてしまう。
クラシックの合唱と同じで、楽譜通りに自分のパートを忠実に歌うことで、ハーモニーが出来上がっているのであった。
となると、私が歌えるようになるしかない。
周りも私と同じレベルなら、ナハハ、やっぱり難しいね、で誤魔化せたが、他のパートは合唱の講師陣である。そして私が自分から「入れてくれ」と頼んで入ったのである。できないでは済まされない。
毎日私は歌った。
いつも歌っていた。
そばにミニキーボードを置き、常に音程を確認した。
車で歌った。
トイレで歌った。
外出中はマスクの中で歌った。
努力である。
もう必死であった。
しかし努力というものは裏切らないのだ。
「もうこれは絶対に無理」という状態だったものが、最終的に音を取れないのは1ヶ所だけになった。
もう「できない」とは言わない、「あと少し」だ。
結果的にこの音は本番でも外した。
間違えた箇所もあった。
しかし、練習を始めた当初には無理だと思ったことをやり遂げた達成感はあった。
私、44歳になりましたけれども、「頑張ること」の意味がちょっと分かったような気がします。
次はあと10日でシンセを使いこなさなくてはならないというハードルだ。
疲れが出たのか、ライブが終わってから体調がイマイチである。
またつまらん病気になりたくないので無理しないようにしているのだが、もう時間がない。
やればできると信じて、5周年に挑みたい。