人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

天使の囁き、悪魔の囁き

寒い・・・。信じられない程、寒い。

それでも行かねば、3ヶ月1600円のエアロビクス。

特別寒いが、冬だから寒いのは当たり前である。

ついでになかなか行かれない、スポーツセンター方面の買い物も済ませる事にした。

古本屋。

じんわり汗ばむほど体を動かしてきたが、エアロビを終えて外に出ると、ますます寒くなっていた。

くじけたが、求める古本はゲームの攻略本だ。何が何でもすぐに欲しい。

基本私は根性なしだが、こういう時のために温存しているのである。

欲しいものの誘惑に滅法弱いだけかもしれないが。

驚くなかれ、ファイナルファンタジーⅩⅡの攻略本の定価は、1600円である。

厚み約3.5センチ、ページ数は591ページ、いらぬ情報もかなり含まれているはずだが、決まったところからしか出せないのか、これしかなかった。

過去のシリーズもずっと、この「アルティマニア」だったのだ、観念するしかない。

そのために古本屋に来たのだが、それでも750円である。

ボロくていい、読めればいい、実は私が古本屋に出した前作のアルティマニアは、良く読むページに折り目がつけてあり、あちこちにマーカーまでしてあった。

あんなのでもいいのだ、もっと安くならないのか。

同じものは5、6冊あったが、どれもさほどくたびれておらず、どれも750円である。

あんなに汚して使い切る私は、ある意味、貧乏人の救世主なのかもしれない。

しかし良くみると1冊、105円の値札がついているものがあった。

ええっ!?これ、他のと変わらず全然きれいですけど!?

間違えたのか、手違いか。

・・・ラッキー♪EE:AEB80

私はそれを手に取り、レジに向かった。

EE:AE5BFえっ!?ぽ子さん!!もしかしたら750円の本かも知れないのに、黙って買っちゃうの!?

足が止まる。

EE:AE4EFこんなのは向こうのミスだ。間違える方が悪いんじゃねえか。

一歩、進む。

EE:AE5BFダメだよ~~!!1冊で650円も損しちゃう人がいるんだよ!!これは小さな万引きだよ!!

EE:AE4EFルセエッ!!どうせ売る方も気がつきゃしねえよッ!!世の中、こんな事は日常茶飯事だ!!正直者に損をさせるな!!

EE:AE5BF誇りを持って生きて!!

EE:AE4EF普通に生きてりゃ充分だろ!!

あああ~~~!!助けて~~!!

もちろん迷いがあったのは105円で買いたかったからであり、私は「もしかしたら傍目には分からないけど、一番大事な1ページが抜けているのかもしれない。」と思い込もうとした。

しかし結局、神が勝った。

バカみたいだと思われるだろうが、私は「バチが当たる」という事を信じているのだ。

ちゃんとお話するとそれは逆なのだが、つまり、何か今後悪い事があった時に「あの時攻略本を黙って105円で買ったから・・・。」と思ってしまうという事である。

「あのー・・・、同じ本はみんな750円なんですけど・・・。」そう言って値段が見えるように、レジで本を出した。

「は・・・。」

若い男性店員はこういった場合の対応に慣れていないようで、しばらく本をパラパラ見ていたが、隣のレジの女性が「他の本の状態と同じだったら、105円で。見てきて。」と促した。

ん?

他の本と同じだったら、これも750円になるんじゃないのか?

私が聞き間違えたのか?

ひゃくごえん。

ななひゃくごじゅうえん。

間違えそうにないが。

やがて戻ってきた男性は、「では105円で。」と言った。

まじっ!?

つまり「こちらの落ち度ですから」という事なのだろうか。

まぁもう何だっていい、店が言った値段なんだから、堂々と私は出す、100円玉1枚と1円玉を5枚。

と~っても寒い一日だったが、私はハッピーである。

そしてこの攻略本をクタクタになるまで読みつぶし、誰かに105円のハピネスを授けようではないか。