人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

不治の病

眠れんかった・・・・・・。

具合が悪いと言っては寝ているのだ、肝心な時に眠れなくなってしまった。

これはもう、この不調に早いところケリをつけなくては泥沼だ。

病院へ行こうEE:AEAAB

しかし、どこで何を診てもらったらいいのか??

ダルいなら内科か。

喉が痛いのは耳鼻科。

でも痛いのはもっと奥かもしれない。

一体、何が原因でどこがどうなっているのかなど、私には分からないのである。

仕方ない、1つずつ潰していくよりなかろう。

一番不快なのは「喉の痛み」、かれこれ半年は繰り返しているのだ。

この頃は横になると息苦しい程になっている。

考えていたら、怖くなってきた。

ガンとかじゃないだろうね・・・。

いつも行っている耳鼻科は、休診日であった。

なのでネットで近所の耳鼻科を調べたが、名前だけではどこが良い病院なのかが分からない。

ガンかもしれないのだ、トローチひとつで帰されたらたまらない。

クチコミ・・・、う~ん、少ないね。お?

「内科・耳鼻咽喉科・気管食道科」、おおお~、これこれこれ!!

私の不調の疑わしい部分を、全て網羅していらっしゃる「X医院」!!

決まった。

私は初めてのデートのようにウキウキと歯磨きをし、しかしいつも通りスッピンに帽子マスクの強盗仕様で出かけたのであった。

「・・・・・・・。」

しばらく中に入るのをためらってしまった。

恐ろしく古く、小さい病院であった。

しかし、少ないクチコミでは評判の良い医者であった。

惑わされてはいけない。ブラック・ジャックの家を思い出すのだ。

こういう中にこそ、名医がいそうではないか。

待合室には誰もいなかった。帰りたくなるが、こう誰もいないと帰りづらいものだ。

まぁ不満なら、また別のところに行けばいい。

まだ顔も見ていないのだ。

古いが清潔で片付いた部屋じゃないか。

惑わされてはいけない、私は試されているのだ。

果たしてその名医は、ものすご~~~く歳をとったおじいちゃんであった。

そして私を見て、「はい、ぽ子ちゃんね、こんにちは。」と言った。

「・・・『ぽ子ちゃん』て歳でもないですけどね・・・。」と言うと、「おや、間違ってるかね?」とパソコンのモニターを指差した。そこには「サンタイザベル・ぽ子、18歳」の文字があり、私はそれを訂正しなくてはならなくなったが、「43年生まれです、18歳ではありません」と言うのが精一杯であった。

なぜ同じ事なのに「43年生まれ」と「42歳」では、後者の方が屈辱的なのだろうか。

分かりにくかったせいで、ついにその場では訂正されなかった。

「で、どうしましたか?」先生はこちらに向き直る。

70か・・・、80歳はいってないだろうか。

大丈夫なのか。医学のイロハはまだちゃんとすべて頭の中に入っているのだろうか。

いやいや、それだけキャリアがあるのだ、色んな症例を診て、色んな判決を下してきた男の中の男である。

そう言いきかせて私は、もうずっとのどが痛いこと、体調が悪いことを伝えたのだった。

おじいちゃんは私の舌の先を引っ張ると、口内鏡を喉の奥にグイッと突っ込んで時間をかけて覗き込んだ。

ウッ、そんなに突っ込んだらオエッとなっちゃうよ、と不安がよぎったが、何度も自ゲロを経験してきた私だ、ソコは鍛えられているはずだと思うようにする。

「うーん、これは、酷いね。ヒドイ。急に悪くなった?」

いきなり言われたのでビビッた。ヒドイ?

「いえもう、ずっとこんな感じです。ずっと。」

そう答えると、おじいちゃんは一言・・・、

「これはね、治らないよ。」と断罪した。

私は絶句した。本当に何も言えなかった。

治らない?どういう事?

次に先生(昇格)は、ライトのついた細長いカメラを喉の奥に突っ込んで、それを撮影した。

看護婦さんも含めて使い方が良く分からなかったようでてこずったが、次には私が「オエッ」と言っててこずった。

しまいには涙流してゲップまで出したが、ああいう時はいっそ笑ってもらった方が気が楽である。

先生は、撮影した私の喉の気持ち悪い映像を見せながら説明する。

「ハイ、ここ!これね、ほらこ~~んなのがあるでしょ、大きいの♪」

「それとここ!こんなになってるのね。これ、ひどいよ。ずいぶん苛めたねぇ・・・。」

私の気持ち悪い喉の奥は、炎症を起こしてデコボコになっており、真ん中に大きいのが二つ、山になっていた。

つまり、私があまりに喉を苛めたために常に炎症が起こっている状態になり、今となっては慢性化して炎症が起こっているのが普通の状態=治らないとの事である。

「まぁこれは病気じゃないから、心配はいらないよ。あんまり喉、苛めちゃダメだよ。また何か悪くなるようだったらおいで。」

おじいちゃんは優しくそう言ったが、これでは何も解決していない。

後で「慢性咽喉頭炎」というものについてネットで調べたが、じーちゃんの診断に不満はない。

これは私の場合、自業自得の生活習慣病のようなものであった。

原因の多くはタバコ、過度の飲酒、喉の酷使となっており、心当たり大アリである。

しかし治らないんじゃ、病名が分かっただけで、解決にはなっていないのである。

しかも喉の話にかまけて忘れていたが、体調不良の方はどうなってるんじゃいと。

こちらの方も手付かずでは、結局明日からの希望がないのである。

何だかひどく落ち込んで、途中で発作的に豆大福が食べたくなった。

しかしヨークマートの豆大福はフサッとしていて、おお友よ、そのような調べではなく、私はモチッとして甘味の抑えられたヤツが食べたいのである。

こんな気持ちになるなんて、オリンピックの開催よりも少ないのに、喉は治らないし、気分は最悪である。

水曜日、ダンナは「オレは飲むよ♪」と黄色いシュワシュワしたヤツを持って来たが、私は手が出なかった。

今週は金曜まで飲まない。

効果はないのだろうが。