「レベル7」。
古本売り場でそのタイトルを見た時、何かが引っかかったのだ。
どこかで聞いたような気がする。
この本の話をした事があるはずだ。
とりあえず買って帰ったが、思い出した。
前の職場の課長が「レベル7に行くと、もう帰れないのです。」と言っていたのだ(笑)
私が苦手なミステリー、しかも長編だったが、レベル7とは何なのか。
無性に気になったので読んでみたのであった。
「レベル7まで行ってみる。戻れない?」の言葉を残して姿を消したみさお。
彼女と歳の離れた親友となっていた悦子は、その謎の言葉にただならぬものを感じ、独自に探し出す事を決意する。
一方、記憶を消された状態で突然目覚めた男女。
部屋にあるのは血の付いたハンカチと拳銃、トランクに5千万円分の札束。
隣人の三枝は妙に頭の冴える男だが、気を抜けない。
しかし彼の力を借りるしかないのだ。
やがてこの2つの話が交差する時、「その事件」の解決に向けて大きく動き出すのである。
「レベル7」に向かうみさお、そして「Level.7」の文字が腕に刻まれている記憶のない男女。
彼らは自分達の世界に戻ることができるのだろうか・・・。
宮部みゆき・・・、ね。
前回辛い感想を書いたが、今回は鼻につく言い回しはあまりなかったのでむずがゆさはなかった(笑)
しかしやはり優等生的な文章、優等生的なキャラクターなどがリアリティを半減し、感情移入がしづらい。
まぁそもそもドフィクションなのだ、リアリティよりドラマが盛り上がれば良いのだろうが、そういう点では壮大なドラマで申し分はなかった。
まったく関連性のない二つの話がやがて交差し、次々に謎が解けていくのは爽快だ。
しかし壮大すぎて、抱えきれないのである。
できるだけ毎日読むようにしてはいたが、少し忘れるだけで次に支障が出てしまう。
二日も空いたらもう一度戻して読むようである。
そしてタイトルにもなっている一番の謎「レベル7」が、ありえなさ過ぎるくせに大した重要なポイントでもなかったのでガッカリだった。
とは言え、とにかく終盤は手に汗握るシーンの連続、二転三転する話に釘付けだ。
長編を読む根性さえあるなら、楽しめる作品だと思う。
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「レベル7(セブン)」 宮部みゆき
新潮文庫 ¥857(税別)