「どうも釈然としない。」
憮然として娘ぶー子が言った。
「私が金曜日遊びに行こうって誘ったときはさ・・・。」
仕方ないのだよ、ぶー子、私はもう収入のない専業主婦の身。
金曜日は休日ではない、主婦には「出勤日」なのである。
金もないのにダンナに残業させて遊んでいる場合ではない。
「とか言って、散々飲んだくれて帰って来なかったじゃん!!」
・・・、すまぬ、それもある意味不可抗力なのだよEE:AE4E6
予定していた訳ではない。
それとこれとは切り離してくれないかEE:AE4E6EE:AE4E6
「まぁまぁ、せっかくぶー子も言ってくれてるんだから、たまには親娘ふたりででかけてくれば?」
平和を愛する男、T.I。
気の強い女二人と暮らしていくうちに、この家の安定を保てるのは自分だという事を学んだのかもしれない。
確かにこのままではぶー子に悪い。
ダンナにも悪いが、ダンナ本人がそう言ってくれるのなら甘えようじゃないか。
甘えっぱなしである。と言うか、もう誰も私に甘えてくれない(笑)
と言う事で、今日の予定は新宿で激辛ラーメンを食べ、ウィンドーショッピングをして帰る、それだけであった。
もう無駄遣いをしないことぐらいしか、私にできることがない。
いやもしかしたら、今となってはぶー子の方が私よりも金をもっているかもしれない。
あわよくば・・・。
しかし、激辛ラーメンを食べたところで予定が大きく狂ってしまった。
あまりにもそのラーメンが激辛だったため、胃腸が大反乱を起こしたのである。
店を出るなり胃痛を起こし、背筋も伸ばせないほどになった。
こりゃダメだ、一刻も早く横になりたい、救急車・・・、じゃなくて、マンガ喫茶EE:AE595
3時間パックで入り、フラットシートに寝っ転がり、マンガを読み、トイレに行き、眠り、飲み物を飲む。
ひたすら自堕落にそれを繰り返し、店を出たらもう真っ暗であった。
それでも執念で予定通りウィンドーショッピングをしたのだが、数十分おきにやってくる定期便でもうヘトヘトである。
「じゃあ、実は行きたい所があるからもうそこ行こうか。」
FOREVER21か、H&Mか。
安い服なら買ってやりたいが、ああ、金がないってみじめね。
やっぱり小遣いぐらいは自分で稼がなくちゃなるまい。
「ここEE:AE5BE」
それはマルイの地下にある洒落たカフェバーであった。
「母の日に何もしなかったからさ。」
えっ?まじですか??
ぶー子20歳、ぽ子42歳、いよいよ立場が逆転したか。
こんな洒落た店でご馳走になる日が来るなんざ、考えたこともなかった。
しかし複雑である。
遠慮しつつ失礼のない程度のものを選ぶ難しさ(笑)
酒を飲みたかったが、飲みだしたら止まらないことは分かっていたし、そうなればこの後が台無しになる事も分かっていた。
生ハムをノンアルコールカクテルで食べる。
「うっ。」
洒落た店でテンション上がって忘れていたが、私には今や親友となった腹痛がいたのである。
「来た、また来たEE:AE5B1」
「トイレ、あそこ!!」
しかしそこから見えるトイレは、明らかに1つである。
私が音姫を鳴らしまくって長居をし、残り香なんぞ残した日には「あいつ・・・。」と私の健康状態がバレバレである。
食べるものもあらかた食べたし、店を出る事にした。
その後もブラブラ雑貨屋など見ていたが(トイレに行きつつ)、彼氏と連絡がついた途端にぶー子がソワソワし始めた。
充分楽しませてもらった、解放してあげる時が来たようである。
駅に着くまでに三越のトイレに入り、久米川に着いたらファミマのトイレに入り、何とか伝説を作らずに家まで帰る事ができた。
明日は土曜日だが、ダンナは出勤日である。
今日は有給をもらったようなものだったが、明日は私も出勤日としよう。