だからダメだちゅーてんのにEE:AEB64
仕事から帰って携帯を開くと、母から電話があった形跡が残っていた。
3時半。
いつもなら仕事中である。
何事かとすぐにかけ直すと、「あぁ、もうケリがついたからいいんだけどね。」と話し出した。嫌な予感。
むしろ、ケリなんかついてない方が良さそうだが。
布団クリーニング、だそうです、今度はEE:AEB64
「だってね、××っていうところの布団使ってませんか、って言うの。確かあったからそう言ったら、今キャンペーンで1250円でやってくれるって言うのよ。」
すでに突っ込みどころ満載だが、最悪の結果になっていないことを祈りつつ、最後まで話を聞く。
「で、アンタに電話したらいないから、お隣さんに聞いたのよ。そしたら××の布団なら有名なところだから、変な事はないと思うっていうからさ。」
確かに××ならテレビでコマーシャルもやってるし、悪徳商法というニュアンスではない。
ならば、××を語った悪徳商法の可能性はないのか?
「・・・で、布団は?」
「あとで取りに来るって、まだ来ないんだけど。」
セーフか。
ここでまた私はキツく言わねばならなかったが、こうも効果がないとは脱力である。
・絶対に訪問販売の話を聞いてはいけない。
・絶対にドアを開けてはいけない。
「狼と7匹の子ヤギ」の子ヤギほどの無防備さである。
「あらだって、いい人だったわよ。」母は言うが、羊の仮面を被った狼なのだ。いい人の仮面を被った悪徳商人なのだ。
どの世界に、人相も態度も悪い人間から、高額な商品を買う人間がいるかEE:AEB64
とにかくその人が戻ったら、名刺をもらえと言っておいた。
娘がうるさいから、そういう人が××社で訪問クリーニングやってるかを聞いてからにすると言っておやりッEE:AE4E5
電話を切ってから私は、××社に「クリーニングを訪問で受ける事はあるか」と問い合わせてみた。
受けた女性は「弊社は基本的に訪問販売です。」と言った。
ただ、やはり悪徳商法などで××社を語る人がいるので、名刺で必ず確認して欲しいという事であった。ざまあみろ。
××社を語る悪徳野郎め、と思いながらも、今度は「××社 クリーニング詐欺」でネット検索してみた。
むしろ××社が悪徳であった。
正確に言うと法に触れるような悪徳ではないようだが、かなり強引に高額な商品を売りつけているようだ。
クリーニング→この布団もうダメですよ→これ買いなさい、というのが常套手段だ。
そして、彼らは1年中「キャンペーン」をやっているようである(笑)
エサなのだ。
ヤバい、母の布団を洗わせてはならぬ。
そもそも布団の汚れなんか全然平気だろうが、トシコよ~~EE:AEB64
すぐに母のところにかけ直したが、ずっと話し中である。
30分ほどだってやっと繋がったと思ったら、今度は出ない。
もしかして、今まさに、「この布団、もうダメですねぇ~。」とか言われているのだろうか。
出ろ、出ろ、出るまでかけ続けるぞ、その布団は汚れたままでいいのだ、母の布団はせんべいでいいのだEE:AE4E5
やっと出た母は「まだ来ないのよ~。」と、まるで待ちわびているようであった。
私はネットで調べた結果を母に伝えると、素直に「そうよねぇ、何かいろんな物を売りつけられるわよねぇ。」と言ったのでガックリきた。
なんなのその素直さEE:AEB67こりゃ簡単に騙される訳だ。
とにかくもうドアを開けるな、開けずに断れ、何なら娘に怒られたと言ってもいい、そう言って終わった。
どこかで聞いた事があるようなセリフだと思ったら、「ダメです、許しません、お母さんにダメって言われたって言いなさい」という、古い古い母のセリフであった。
母よ、どうしてこんなんなっちゃったのEE:AE473
厳格で融通の利かないオールドタイプの母に、私は何度も泣かされてきた。
長い年月が経つと、逆転するようである。
しかし私はニュータイプである。
母を泣かすような事はしないが、守らにゃならない。