人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

亭主、繁忙期。

夜勤が終わっても週末は二日とも休日出勤だったのは、ダンナである。

しかし、その最後の仕事が終わるのを楽しみにしていたのは、ダンナだけではない。

ダンナがいなければもう家事をするしかない、と言うほどひとりでは何もできなかったぽ子であった。

日曜日、仕事が終わればやっと自由になるのだ。

短い時間でも、休日らしいことをしようじゃないか。

「全然想像がつかないけど、多分2時とか3時にはあがれるんじゃないかな?」

仕事ではなく部署の引越しなのだ、時間が読めないとダンナは言った。

「じゃあ7時とか8時とかってことはないね?」私が返すと、「まさか!!さすがにそんなにはならないよ。遅くても定時だよ。」とダンナは答えた。

仕事が終わったのは6時半だった・・・EE:AEB64

ラーメンを食べに行こうと言っていたので、私はご飯をいつどのくらい食べていいのかが分からなかった。

何しろ全然連絡がないのである。

腹は減るが、仕方なく納豆や卵ご飯(小)などでしのぐ。

「ラーメン食べようね、狩りに行こうね」とダンナはペコペコペコペコ謝っていたが、本当にその通り、ダンナが帰ると即、車でラーメン屋に直行だ。

家に帰って風呂に入ると「ごめん、これだけ見せて。」と、録画してあったF1の予選を見始めた。

「寝ちゃいそう・・・。寝たら叩き起こして・・・。」

そう言いながらも何とか頑張って最後まで見て、「じゃあ狩りに行こうか。」と振り向いた。

ダンナの最後の仕事、私のお守りである。

「狩りに行く」とは、ネットゲームでモンスターハンティングをしましょう、という意味である。

私は可哀相に疲れたダンナを早く解放してあげるべきなのだろうが、その前にだ。

「ちょっとそこに座って。」

私はダンナをダイニングのテーブルまで呼びつけると、昼に調べた「ユダヤ人の歴史」を延々と語った。延々と。

昨日も書いたが、とにかくどえらい長いのだ。

長い上に色んな問題に発展しており、終わらせどころがない。

なので散々語っておいて、最後は全て尻切れトンボである。

ダンナは辛抱して最後まで聞いた。

ところどころ質問をしてきたが、質問に答えるほど知識は入っておらず、完全な私の一方通行である。

しかし酒のお陰で、そこそこ盛り上がった。

盛り上がったのだからそのまま話をしていればいいものを、「じゃあそろそろ狩りに行きましょうか。」と唐突に私は話を遮った。

ユダヤ人の話もしたかったが、狩りだってしたいのだ。

ダンナは12時半まで付き合ってくれたが、その後はF1の決勝を諦めて寝る事にしたようだ。

「行っちゃうの・・・EE:AEB69」そしてダンナはしょんぼりと言った。

エルと寝たかったようなのだが、彼女は私と寝る気になっており、リビングから2階に続くドアの前で今か今かと待っていた。

「エルが一番いいようにするといいよ・・・。」そういい残してダンナは寝室に消えていった。

お疲れ様でござる。

そしてダンナはF1の録画を仕事に行く前に観るために、いつもより何時間も早く起きるのである。