イカの寿司
ぶー子の友達が泊まりに来るというので、掃除をしなくてはならないDAYであった。
まぁ今日は酒も抜けて気分もいいし、人でも来ないと片付かない家なのだ。
ぞうきん持って午前中は目一杯働いたのである。
洗濯機2回に布団干しなどという奇跡は、もう起こることはないだろう。
娘ぶー子の学校が早出の日で、5時起きである。
そしてぶー子は朝帰りだ。
彼女は感動の物語を私たちに見せ、秘密がなくなって安心したのか、好き放題である。
むしろ、この好き放題を黙認させるために感動の物語を作ったのか、ぐらいなタイミングである。
まぁ3時にひとりで帰って来られるよりは、朝の方が安心ではあるが。
しかしそれを言っていけない気がしないでもない。
もう自分でも何が何だかよくわからない。
で、5時に起きた、掃除をした、仕事に行って帰ってきたらぶー子は寝ていた、起きたらひとこと「友達来れなくなった」、以上。
なんと、早朝からシンデレラほど働いたのに、朝ご飯は君たち3人分買って来ちゃったし、って事はアンタ、晩ご飯食べるのね。ないですけど。
まぁ部屋は少しばかり片付いたし、ぶー子の布団もフカフカになってそれはそれでいいのだろうが、ぽ子の世界ではこういうのを「無駄働き」という。
無駄働きと言えばぶー子も同じで、彼女も昨日、バタバタと部屋を片付けていた。
ぶー子が部屋の片づけをすると必ず大量のペットボトル、ゴミ、洗濯物が出るのが常だが、今回は弁当箱も出た。
4月14日に写真でUPした弁当箱だ。
箱の話ではない。
まんまその弁当箱なのである。
あの時点で数ヶ月経っていたのだから、もう半年は洗っていないはずである。
一体どのツラ下げて持ってくるかと思いきや、黙って置いていったのだ。
私は「もうしょうがないわねぇ。」と何でも妥協するお母さんではない。
女と女の戦いである。タイマン、ガチンコ勝負なのだ。
私はこのままぶー子の部屋のテーブルに戻す。
そう言えば長い事、「弁当箱の箸がない」と言ってシダックスやくら寿司の割り箸を持って行ってたが、それはあの弁当箱とセットになっている事がわかった。
腐った弁当箱はどんな音がするのかと振ってみたら、懐かしいカラカラという音がした。
箸箱に入った軽い箸の音である。
そしてぶー子は今日もバイト、ダンナは残業である。
みんなで食べるつもりのイカの寿司を、我慢できずに時間差でひとつずつ食べてしまった。
そころで「いかのおすし」という、子供のための防犯ワードをご存知だろうか。
知らない人にはついてイカない。危ない場所にイカない。
知らない人の誘いにのらない。知らない人の車にのらない。
あぶなかったらおおきな声で叫ぶ。こわかったらおおきな声で叫ぶ。
交番、子供110番の家、お店、学校など、とにかく人のいるところにすぐ逃げる。安全な場所へすぐ走って逃げる。
近くの大人や警察(110番)家の人、学校にしらせる。どんな人、どっちに逃げた、どんな車などをしらせる。
ある意味インパクトはあるが、それは大人の目で見た馬鹿馬鹿しさのインパクトであり、この言葉の効果には疑問である。
長すぎで覚えにくく、やはりいかのおすしはイカのお寿司であり、ぽ子が我慢できずに食べちゃうものなのだ。
いつもよりたくさん働いたのに、ネタになることなんか何もなかった。
家事なんて報われないものである。