話題になったので、観た人も多いと思う。
監督:周防正行
キャスト:加瀬亮、瀬戸朝香
痴漢の冤罪事件である。
フリーターの金子徹平は、会社の面接に向かう電車で痴漢と間違えられて駅員に突き出されてしまう。
ここからはもう、反論の余地はなしだ。
「罪を認めればすぐに留置所を出られるが、否認すれば何ヶ月もかかった挙句に裁判になり、しかもほぼ有罪だ」、皆、口を揃えてこう言うのだが、「それでもボクはやってない」のだ。
歪められた調書、有罪にしたがる裁判官。
そこには「真実を明らかにする」という「制度」だけがあり、実際は個々で都合の良いように動いているだけである。
しかし徹平は諦めない。
やっていない罪は、認めようがないのだ。
彼は無罪を勝ち取ることができるのだろうか。
これは、日本の冤罪事件の現状を暴いたドキュメンタリーと言っていいのだろう。
痴漢が厳しく取り締まられるようになって来たが、そうなると冤罪もその分増えるのだろう。
「痴漢」という破廉恥な行為に、世間は冷たい。
誰だって捕まれば逃げたくなるだろう。
言い換えれば捕まったものは皆、「違う」と言うのだ。
しかし「そうですか、違いましたか。」と言う訳にはいかない。
それにしても、あんまりである。
誰も聞く耳をもたないし、証拠ですら認めてもらえない。
「まさか」と思うようなシーンばかりだが、うそ臭さがなく、自然に徹平の気持ちになっているのはなぜなのか。
どこか根底に、警察への不信感が自分の中にあるからなのかもしれない、という結論である。
そう、これは作り話ではない。
ドキュメンタリーである。
私はそのように観た。
ちなみにダンナは「こんな事件、たまったもんじゃない!!」と怒っていたが、話してみると私達女性の側とは大きな認識の違いがあった。
「そんなに心配なら、女性専用車両に乗ればいいんだ!!」と言うが、ちょっと待て。
痴漢行為というものは男性が思うよりもはるかに多く起こっているのだ。
決して大げさでなく、女なら誰でも痴漢に合う。
何度だって合う。
満員電車と痴漢はセットなのだ。
「何で捕まえない」「何で言わない」と言うが、言えないのだ。
恥ずかしいし、勇気がない。
どうせ相手は逃げるか否定するかなのだ。
それは女が悪いのか?
こうして長い間女性は耐えてきたのだ。
やっと警察や世間が痴漢をきちんと罰してくれるようになったのだ。
冤罪は許されるものではないが、何度も痴漢に合って、勇気を出して捕まえた女子中学生の気持ちも、少しばかり考えて欲しい。
悪いのは彼女ではなく、国家の歪んだ体質である。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★
ダンナのオススメ度 ★★★★★ 警察め!!ストレス!!
ぶー子のオススメ度 ★★★★☆ 国の汚い部分を見た。