人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

愛のお布団

いやっほ~~!!金曜日だ!!

飲むぞ!!

昨日もおとといもさきおとといもその前も飲んだけど、今日も飲むぞ!!

今日はちょっと本気出しちゃうぞ、うひひ。

昨日は、寝不足覚悟でエルと寝た。

とにかく今エルは布団に中毒していて、布団が切れると「連れてって~」「寝よう~~」と大騒ぎなのだが、

そんな訳なので、私かダンナか、先に布団に向かう方へエルはついて行くのだ。

普段の平日なら、私は飲まずにサッサと寝るので、エルは毎晩私について来ることになるのだが、エルに中毒しているダンナがそれを許さない。

「え?連れてっちゃうの??」と毎度毎度悲しげに訴え、私が寝室に行こうとドアに向かう寸前に、自分の寝室を開けてしまう。

布団に中毒してすでに禁断症状の出ているエルは、とにかく早い方へ飛びつく。

エルが和室に走り去ると、まぁ寝不足続きも辛いし、ちょうどいいか、と私はひとり寝室にむかうのだが、

実はエルは布団に中毒しているだけで、本当は私と寝たいのだ。

根拠はないが、そんな波動をエルから感じるのだ。

哀れダンナよ、ヤクの力でエルを・・・。

昨日はダンナが先に寝たので、エルはついて行ってしまった。

私はその隣の部屋でゲームをやっていたのだが、トイレに行ったり寝室に暖房入れたりしてリビングを出て戻るたび、エルはダンナの寝室から起きだして、「早く行こうよ。」と待っている。

ダンナの最後の記憶はどんなだろう?

エルが喉を鳴らして布団に入るところか、腕の中で眠るところか。

残念でした。本命は私です。

寝不足気味だったから今日はひとりで寝るつもりだったが、私が部屋を出入りする気配がするたびに、こうして起きて来るのだ。

なんといじらしい。愛いやつめ。今宵は一緒に寝ようぞ。

やはり寝入りばなに体中舐めるので、心配でなかなか眠れなかった。

エルはこうして自分の体を憑かれたように舐める合間に、私の顔もベロベロ舐める。

なんで私の顔が布団の中に入っているかと言うと、それはエルが愛しいからである。

愛しい猫が布団に入ると、自分の顔も布団に入るものなのだ。

しかし、痛い。

ヤスリ状の舌で何度も何度も同じ部分を舐められると、しまいには擦りむいたようになってしまう。

こりゃ、エルも禿げる訳だ。

禿げるどころか、そのうちに舐め壊して流血の惨事だ。

本当にこれは何とかしないと。

目覚ましが鳴った。朝である。

私はもう寝坊をしまいと、目覚ましをちょっと離れたタンスの上に置いていたのだが、その音を消すために布団を出る事になる。

ああっ、エルも起きちゃう!!

目覚まし、誰か消して~!!

その誰かは自分である。

私は観念して布団から出て、目覚ましを消そうとした。

一瞬で消して一瞬で戻れば、もしかしたらエルは気付かないかもしれない。

私は慌ててしまい、ボタンを押した拍子に目覚ましがタンスから落ちてしまった。

これが床に落ちたら凄い音がする→エルがぶったまげて起きてしまう。

ここで私は普段温存している瞬発力を、寝起きにも関わらず発揮する事になった。

子供の大好きなヒーローのように、私にもこんな能力があるのだ。

素早く目覚ましより下に手を回す。

すると確かに目覚ましは一度手のひらに乗ったが、軽くバウンドして前方へ出た。

ちょっと待てっ、今度は逆の手を出すがスルリとこぼれ落ちる。

もうダメだ、と思いつつ膝で受けたら、ちょうど良く壁にかかっているバッグに乗った。

すげえ・・・。

ぽ子、人間国宝だ。

ホッとして目覚ましを、今度は手を伸ばしてボタンを押せるようにベッドサイドに置いた。

しかしそんな努力は報われず、エルは布団から出てしまい、ブラインドの内側の窓辺に座り、ギャロ~、ギャロ~と鳴き出した。

私はなかなか起きれない前提で、目覚ましを早めにセットしてあるのだ。

つまりまだ起きなくてもいい時間なのに、目覚ましと化したエルがけたたましく鳴く。

こうなると意地だ。

負けるもんか、聞こえねえ。

・・・・・・。

しかし目覚ましは、先程のファインプレーでどこかがどうにかなったらしく、スヌーズが鳴らなかった。

私は5分後、10分後をアテにしていたのに、気付いたら寝坊していた。

やっと金曜日。

今週も寝不足である。

何時まで起きていられるか。