人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

恐怖のチキンクネル

朝が来ていた事に、全く気付かなかった。

目覚ましは6時20分にセットされていたはずだが、起きたのはダンナが着替えに寝室へ入って来た時だ。

目覚ましが壊れているのか?

私が目覚ましに気付かなかったのか?

とにかく急いで起きて、朝ご飯の支度にかかる。

貴重な朝の10数分を無駄にしてしまい、慌しい朝になってしまったが、みんな家を出てしまうと途端に眠くなった。

どうしてこんなに眠いんだ?

私は昨夜の事を思い出してみる。

早めに布団に入り、小説を少し読み、早めに寝たはずだ。

いつもならなかなか寝付けず、寝入りばなに一度パッチリと目を覚ますのだが、それもなかった感じだ。

つまり、良く寝たはずなのだが、こんなに眠いなんて絶対におかしい。

きっとちゃんと寝れなかったのだ。

寝れなかった理由など何ひとつ思い当たらなかったが、今日の私は「寝不足」に決定だ。

そうとなったら、不足分を取り返さなきゃね。

私はソファに座り、目を閉じた。

あぁ、でも・・・。

ここで寝たら今夜また寝付けないかも・・・。

いやちょっと、10分ぐらい・・・。

しかしここで天使と悪魔の囁きが交錯する。

「ぽ子さん~、起きましょう、起きましょう~。」天使が耳元をくすぐる。

ハイ、起きれるものなら起きたいけど、眠くてたまらないのです。

「ぽ子さん~~、冷蔵庫に筋子が残ってますよ~~~。」天使が続ける。

筋子ッ!!

私はガバッと起きて茶碗にご飯をよそり、立ったまま筋子を乗せて食べた。

筋子~、筋子~~。

醤油飲んで死ね、などと言うが、筋子も食べ過ぎると死ぬだろうか。

もう筋子が好きで好きで、どうにかなってしまいそうだ。

恐らく私の人生を狂わせるものがあるとしたら、それは男や金ではなく、筋子だろう。

そんな事を書いていたらたまらなくなり、今も食べて来たところだ。

あぁもう、ツブはなくなってしまい、残りは汁だけだ。

ところで今日の晩ご飯は、きのことベーコンのトマトスープに和風スパゲッティだ。

この下ごしらえを午前中にするのだが、簡単だったので時間が余ってしまった。

これはもしかして、あれを作れという事なのかもしれない。

チキンクネル。

結局あれから、時間がないのとかったるいのとで、足りない分の生クリームを、買い足していなかったのだ。

先週の金曜日に作るはずの材料が、まだ冷蔵庫に入っている。

生クリーム、鶏のひき肉、どちらも先週半額で買ったもので、とっくに賞味期限を過ぎていた。

ひき肉のにおいを嗅いでみる。

お??

臭いません~♪

賞味期限がなんぼのもんじゃい、そんなものは私の鼻が決めるっ。

チキンクネル、調理決定だ。

しかしこのメニュー、恐ろしくめんどくさいに違いない。

これは「ロイヤルホテルの家庭料理Ⅱ」という料理本に載っているのだが、この本はややこしいメニューばかりなので、特別な時ぐらいにしか開かないのであった。

前回チキンクネルを作ったのは、もう10年近く前で、実家の母を招いた時である。

*ひき肉をすり鉢ですり潰しながら、卵を混ぜ込む。

*塩コショウして冷やす。

*冷えたらそれを氷水で冷やしながら、生クリームを少しずつ混ぜる。

*そこへ牛乳で湿らせたパン粉を入れて混ぜる。

無理だ。

ここはシンプルに全部混ぜて終わり。簡単じゃんか。

これを茹でるのだが、う~ん、何だがとってもおいしそうだ。

これはぜひ、出来たてを食べてみたいものだ。

賞味期限の件で一刻も早く火を通したかったのだが、勝負だ。

これは食べる寸前に茹でて、一番痛んでいて一番できたてを頂くのだ。

そういえばこの他に、賞味期限が1月17日のテリーヌと、20日のスモークサーモンもある。

今日はもう、「お片づけの日」にしよう(笑)