人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

たまには早く帰りたい

残業だ。

毎日残業だ。

仕事量が増えたようで残業だ。

パート仲間はみんな私より定時が早いので、先に帰っていく。

私が帰るとアンガ藤井が、一番最近入った刺青を背負った山口クンとたった2人で取り残されるので、みすみす帰る訳にいかないのだ。

誤解のないように、理由は刺青ではない(笑)彼は働き者だ。

 

ところが今日は非常にスムーズに仕事が運んだ。

納品の数が少なかったのもある。

私より定時の30分早い山口くんも5時に掃除を始め、5時半に帰って行った。

 

今日は定時で帰れるぞ!ダーク・クロニクル!!ガンガンバトルして・・・。

 

ところが藤井くんが「あ~、やっぱり!!」と言って急に動き出した。

やっぱりと言うのは、「こんなに快調だとイヤな予感がするんですよね。」と言っていたからだろう。

何かヘマをしたのか。

声をかけようと思ってやめた。

貴重な定時上がりのチャンスなのだ。

私の力が必要なら向こうから言うだろう。

 

しかし彼はひとりで作業を始めた。

私の思いは再びゲームに馳せられる。

 

「ぽ子さん、コーヒーでも飲みますか?」

彼はそう言ったのは5時40分、私の定時の20分前だ。

もう帰るし、いつもオゴッてもらってばかりで悪いし。

「いいですよ。いつもそんな・・・。」と言いかけると

「いえ、ご馳走させて下さい、今日は。

今日は、のところで目を逸らせた。イヤな予感。

「良かったら何か食べますか?弁当とかでもいいですよ。食べて下さい。」

アンガ藤井。今日で21歳。参ったよ(笑)

そこでレモンティーで今日も残業となったのでした。

今日のレモンティーはペットボトルでいつもよりデカかった。サラミ付き。

 

どうやら納品漏れがあったようで、慌てて製品を作って加工したのだ。

不良がでるといけないから2個多く作ったという藤井くんに

「もし3個不良が出たらどうするの?」と意地悪な質問をした。

その時彼は、製品を作るための機械をもう解体していたのだ。

藤井くんはゆ~っくり顔を上げ、遠くを見て目をパチパチ瞬かせた。

そして私をゆっくり見て「・・・不良は出ません。」と言って解体作業を続けた。

そんな彼はさっき、「僕は追い詰められると目が良く見えなくなるんですっ!」と言って、不良を見つけるべき目視検査をなぁなぁにやっていた。

 

6時45分。思ったより早く終った。

午前中に晩ご飯の準備を少しするようにしたので、家に帰ってからの負担は減った。

 

その分、掃除の時間が減ったのだが。

今日も2度寝した。

だって夜中に目が覚めちゃったんだもん。

眠いって。