残業だ。
毎日残業だ。
仕事量が増えたようで残業だ。
パート仲間はみんな私より定時が早いので、先に帰っていく。
私が帰るとアンガ藤井が、一番最近入った刺青を背負った山口クンとたった2人で取り残されるので、みすみす帰る訳にいかないのだ。
誤解のないように、理由は刺青ではない(笑)彼は働き者だ。
ところが今日は非常にスムーズに仕事が運んだ。
納品の数が少なかったのもある。
私より定時の30分早い山口くんも5時に掃除を始め、5時半に帰って行った。
今日は定時で帰れるぞ!ダーク・クロニクル!!ガンガンバトルして・・・。
ところが藤井くんが「あ~、やっぱり!!」と言って急に動き出した。
やっぱりと言うのは、「こんなに快調だとイヤな予感がするんですよね。」と言っていたからだろう。
何かヘマをしたのか。
声をかけようと思ってやめた。
貴重な定時上がりのチャンスなのだ。
私の力が必要なら向こうから言うだろう。
しかし彼はひとりで作業を始めた。
私の思いは再びゲームに馳せられる。
「ぽ子さん、コーヒーでも飲みますか?」
彼はそう言ったのは5時40分、私の定時の20分前だ。
もう帰るし、いつもオゴッてもらってばかりで悪いし。
「いいですよ。いつもそんな・・・。」と言いかけると
「いえ、ご馳走させて下さい、今日は。」
今日は、のところで目を逸らせた。イヤな予感。
「良かったら何か食べますか?弁当とかでもいいですよ。食べて下さい。」
アンガ藤井。今日で21歳。参ったよ(笑)
そこでレモンティーで今日も残業となったのでした。
今日のレモンティーはペットボトルでいつもよりデカかった。サラミ付き。
どうやら納品漏れがあったようで、慌てて製品を作って加工したのだ。
不良がでるといけないから2個多く作ったという藤井くんに
「もし3個不良が出たらどうするの?」と意地悪な質問をした。
その時彼は、製品を作るための機械をもう解体していたのだ。
藤井くんはゆ~っくり顔を上げ、遠くを見て目をパチパチ瞬かせた。
そして私をゆっくり見て「・・・不良は出ません。」と言って解体作業を続けた。
そんな彼はさっき、「僕は追い詰められると目が良く見えなくなるんですっ!」と言って、不良を見つけるべき目視検査をなぁなぁにやっていた。
6時45分。思ったより早く終った。
午前中に晩ご飯の準備を少しするようにしたので、家に帰ってからの負担は減った。
その分、掃除の時間が減ったのだが。
今日も2度寝した。
だって夜中に目が覚めちゃったんだもん。
眠いって。