人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

大学病院~今日まで

漏斗胸を詳しく調べてもらおうと、大学病院の予約を取ってあった。

3日待ったけど、「よくそんなに早く取れましたね。」と前々日行った病院の先生に言われた。

そんなもんなのか。

それにしても人間の大学病院と同じで、待ち時間が長い。

診察も長かったけど、結局2時間半そこにいた。

結果はこうだ。

気管支肺炎を起こしている。

そのため呼吸が荒くなっていて、漏斗胸のせいかどうかの判断は難しい。

漏斗胸だったとしても、まだそれほどひどい状態には見受けられない。

まずは肺炎を治すこと。

病状はレントゲンではあまり良くないが、元気があること、ミルクを飲むこと、

これでまだ救いがある。

薬を出すのでまた月曜日に来て下さい。

そうか、漏斗胸より肺炎か。

幸い元気だし、ミルクも良く飲む。

この調子で頑張ろう。

肺炎を甘くみていた。

元気だったのだ。

どんどん治っていくと思っていた。

ところが変化は翌日の朝、訪れた。

6時のミルクの時は元気で、たくさんミルクを飲んだ。

ところがその次の9時の回で、全く飲まなかったのだ。

心なしか元気もない。

心配だ。

なので、1時間後にまたミルクをあげに行った。

声を掛けるといつもパッと目を覚ましてすっ飛んでくるのに、

だるそうにチラッと見ただけだ。

焦る。

栄養が摂れなくなると衰弱してしまう。

薬を早めにやろう。良くなるかもしれない。

粉薬だ。

人間の薬を小動物の生後20日の子猫に飲ませるのだ。

ものすごい少量だ。

1種類などはほんの5、6粒だ。錠剤ではなく粉で。

これをペースト状のエサに混ぜて食べさせる。

ミルクしか飲んだことないのに食べるか心配だったが、

上あごに練りつけるようにすると大人しく食べた。

・・・ミルクよりこっちの方が体に入るぞ。

病院に電話して、このペーストのエサをあげていいか聞いてみたが、

やはりこのぐらいの子猫に対してはミルクの栄養が必要なので

多少無理してでもミルクをやるようにとのこと。

冷や汗・・・。

仕事前の最後のミルク。

あまり元気はないが、まぁ飲んだ。

あとは3時半頃帰るぶー子がやる。

出掛けようとしてケージを覗くと、ひどい呼吸をしていた。

胸がはち切れそうなくらい、大きな呼吸だ。

あああああああ!

急いで電話を取りいつもの病院へ電話して、

時間外だが診てもらう様にお願いする。

準備もしなくては。

冷えないように湯たんぽ、ひとつじゃ足りない、3つ。レンジ、レンジ。

バッグはどこだ、エルは大丈夫か。

ん?

・・・ちょっとさっきより落ち着いたみたいだな。

でもまだ辛そうだ。

どうしよう、このまま楽にならないかな。

準備をしながら様子を見ていたら、最終的に落ち着いてスヤスヤ寝てしまった。

良かった・・・。

しかし安心できないぞ。

どうしよう、放ってはおけない。

病院はキャンセルしたが、困ってしまった。

結局仕事場には電話して遅れる旨話し、しばらく様子を見ていた。

目が合うと興奮して寄って来るので、見つからないようにしなくてはならない。

床に這いつくばって接近し、物陰から一瞬覗き込む。

この頃耳も良く聞こえるようになったみたいだから、呼吸にも気をつけて静かに忍び寄る。

2時ごろまで変化もなく良く寝ていたので仕事に行った。

散々ぶー子に様子を知らせるようにメールしてあったのに、全然連絡をよこさない。

5時ごろやっと来たメールでは、

「ミルク、飲んだ。元気。」とのこと。

はぁ~~~っ。安定したか。

家に帰ったら子猫のところには行かずに、筋子とご飯に直行した。

元気だと言っているのだ。

見てしまうとまたあれこれ考え過ぎてしまいそうだ。

テーブルにご飯と筋子が乗ったところでぶー子が来た。

「エルが苦しそう・・・。」

目の前が真っ暗になった。

慌てて見に行くと、やはり大きな呼吸をしている。

ダメだ、すぐ病院。

病院ではすぐに診てもらえ、酸素室に入った。

しばらく様子をみていたが良くならないので、ちょっと預からせて欲しいとのこと。

夜は無人になるから置いて行かれないので、最悪、酸素ボンベごと連れて帰ることになるかもとの事だった。

家で待機していたがなかなか連絡が来ない。

連絡が来ないという事は状態が良くないのだろう。

11時ごろにやっと電話が鳴った。

「このままの状態でお渡しするのは無理なので、今夜は病院で診ます。」と言ってくれた。

そして・・・。

「夜は越せないかもしれません。

最後になるかもしれないので面会に来ますか?」

と言われた。

そんなに悪くなっていたのか。

元気だったからすぐに治ると思っていた。

いつからこんな事になっていたのだ。

病院のエルは酸素室でグッタリしていた。

興奮するので声は掛けないようにとの事で、黙って見てるしかなかった。

これで最後になるのかと思うとなかなか離れられない。

「何かありましたら深夜になるかもしれませんが、ご連絡します。」

電話=死だ。

いつ電話が鳴るかと思うと気が気でなかった。

ウトウトしたり、祈ったりで結局朝になった。

「決して良くはありませんが、昨日の面会の時の状態のまま落ち着いています。」

朝になって電話が来た。

レントゲンを撮ろうとしたら、かなり嫌がって暴れたので

まだ力は残っていますね、と言った。

良かったら面会に来て下さいとのこと。

少し休んだら会いに行く。

どうか元気になって欲しい。