残業かよ・・・。
明日休みをとってあるから帰りにくかったのだ。
眠い、疲れた。右目が二重になった。
あくまでも世間話として、と前置きをして切り出した。
「突然辞められたら困りますよね・・・。」
17年下の上司がポカーンとした顔でこちらを見る。
「よ、予定がおありですか・・・?」
ワナワナしている。
残業の真っ最中だったのだ。
まだまだ終わりそうもなく、必死こいていた。
昨日も忙しく、残業であった。
「いえ・・・、まぁどんなもんなのかなと。」
どんなもこんなも、突然辞められたら困るに決まっている。
こんなに忙しいのだ。
「休み休みでもいた方がいいもんですかね。」
世間話を越えてきた。ぶっちゃけ「突然辞めるかもよ。」と言ったようなもんだな。
「そりゃあそうですけど・・・。どうしたんですか、あの、残業とか関係ありますか?」
職場に不満はない。
しかし難病の子猫を抱え、仕事との掛け持ちが辛くなってきたのだ。
辛いだけならまだいいが仕事中が心配だし、
病院へ行ったり具合を悪くするたびに、嘘をついて休まねばならないと思うと気が重かったのだ。
今日も娘ぶー子が、肺炎ぎみのエルを置いてカラオケに行ってしまった。
できる事なら残業などしないで家にすっとんで帰りたかった。
「うちの子猫が・・・。」
こんな出だしは誰も理解を示さないだろう。
だったらスッパリ辞めて家で内職でもするかと真剣に考えたのだ。
ただ、エルの治療がこれからどうなるかはまだわからないし、
ちょっとどんなもんなのかとサラッと聞いたつもりが、重い雰囲気になってしまった。
「まぁ、まだわかりませんから・・・ハハ・・。」
年下の上司は笑わなかった。
あちゃー、言わなきゃ良かったな。
しかし疲れたな、ホント。
明日は武蔵境の(畜産)大学病院へ行く。
武蔵境と言えば・・・。
ダンナと無言でうなずく。
ラーメン「きら星」。
それとも平日のうちにひばりの「二郎」か。