人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

義父、2日目

ピョンピョンピョンピョン・・・。

午前6時40分。警報だ。

お義父さんが泊まっている部屋の窓だ。

しまった、言うのを忘れてた。

窓が開くと鳴るようになっているのだ。

ダッシュで1階に駆け下りる。

寝起きなのだ。凄くないか?

しかし、部屋のふすまを開けると同時に止まった。

「わかったよ、ハハ・・・。」

意外と簡単に見やぶられたな。

大丈夫なのか?泥棒には。

ところでこの間義母が泊った時も、早朝に鳴り響いたのだった。

眠い・・・。

休日に起きる時間ではない。

昨夜は娘ぶー子と寝たのだが、おやすみと言って電気を消してからが長かった。

しょうもない下らない話をしていたら笑いが止まらなくなってしまったのだ。

お陰で寝たのは2時ごろだっただろうか。

だからと言っていつものように寝る訳にはいかない。

寝室に戻り、着替える。

眠いので時間がかかる。

するとラがニャンニャン鳴きながら入ってきた。

朝食の催促だ。

ラの催促はすごい。

ストレートに「くれ、くれ」と言っているのだろう。

凄みをきかせるとか駆け引きするとか、そういう技を知っていればもうちょっと静かな朝を迎えられるだろうに。

「もうッ!!うるせえんだよッ !!」

キレたぶー子がラをふん捕まえて部屋の外に放り出す。

これからまだまだ寝れるくせに、猫の泣き声ごときでキレるんじゃないっつの。

「後で寝る、後で寝る」と言い聞かせながら朝ご飯を作り、すぐに皿を洗う。

ぶー子をダンススクールへ送って行く。

「もうすぐ寝る、もうすぐ寝る」頑張れ、ぽ子。

戻ったらすぐに寝室に行く。

「ちょっと2階にいるから。」

何が「いるから」だ。お義父さんの手前、曖昧な言い方をする。

ラよ、カモン。お前を見ていると眠くなるのだ。今回はいかに早く寝るかが長く寝るポイントになる。

せいぜい1時間ちょいぐらいしかないのだ。

しかし結局寝れなかった。

プレッシャーに弱い。

寝ちゃいけない場面で寝るのは得意なのだが。

同じベッドで寝ていたラが爆睡してベッドから落ちた。

それがまたおかしくて目がすっかり覚めてしまった。

さっき食べたばかりなのに、もう昼ご飯だ。

普段休日に食事を作る事がないので、このサイクルには驚きだ。

いつもなら朝は食べずにラーメン、寝て、起きたら残り物、これで終わる。

午後は義父を放置して買い物に行ってしまった。

猫のトイレの砂を何としても買わなくては。

先週も先々週も買い忘れて、もう「これでいいのだろうか?」というぐらい砂がほとんどないのだ。

店に入ると客が怒っていた。

店員ふたりがしょんぼりと頭を垂れている。

おもしろい、一体どうしたんだ?

うちで買っている銘柄の砂がなかったから戻ったが、まだやっていた。

パンチパーマのちょっとガラの悪そうなオヤジだ。お~、こわ。

「・・・服、見た?」

店を出るとダンナが言った。

「見てないけど・・・なんかガラ悪そうなかんじだったよねぇ。何か変だったの?」

「Tシャツにさ、『JUN SKY WALKER(S)』って書いてあった・・・。」

!!ジュンスカ!!

ぶー子が保育園に行っていた時に、知ってか知らずか割と地味なお母さんがZIGGYのTシャツを着ていてショッキングだった事があるが、それに近いものがある。

家に着いたらもう5時半だった。

すぐに晩ご飯の支度だ。

そうか、まっとうな主婦というのはこんなにしょっちゅうご飯を作っているのか。

8時になると、NHKの大河ドラマがつけられた。

どんなに集中してもさっぱり意味がわからない。

眠くなってくる・・・。

だんだん口数が少なくなり、とうとう黙り込んでしまった。眠い。

しかし今度は皿洗いが待っているのだ。

ここにいるのがダンナの親でなければ皿なんか洗わないのだが。

10時。

こうしてPCに向かっているが、左にお義父さんがソファで、右にダンナがイスで、それぞれ違うテレビ番組をつけたまま寝ている。

私だって眠いのだ・・・。

私だって眠いのだ!!