人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

深夜、横断歩道にて

日付が変わろうとしていた。

23時50分。私は車に乗り込む。

ダンナは繁忙期に入り、連日残業である。

昨日仕事が終わったのは23時、1時間かけて最寄り駅に着くのだ。

晩御飯をラーメンで済ますことにし、迎えにいくことになったのであった。

家から駅までは約15分。夜になればもっと早く着く。

10分でちょうどいいだろう、と思って50分に家を出たのだが、珍しくやたらと赤信号で引っかかってしまう。

もうすぐ駅、というところでもまた赤。

こういうのはタイミングがあるのだろうか。すんなり行く時は全然引っかからないのに、ダメな時はとことんダメだ。

少々苛立ちながら、信号が青に変わるとアクセルを乱暴に踏み込む。

と、ととと・・・、ブレーキブレーキEE:AE5B1

なっ、なにこれEE:AEB2F

犬でもない猫でもない動物が、ゆっくりと横断歩道を渡り始めたのである。

この顔。もしかしたら。

以前、家の近くでアライグマを見たことがあり、その時にタヌキとアライグマの違いを徹底的に調べたのだ。

これはきっとタヌキだ。アライグマじゃない方。

暫定タヌキはゆっくりと時間をかけて横断歩道を渡りきり、私は再び車を駅に向かわせる。

ちょっとばかり早く着いたので、スマホでタヌキの画像を調べてみる。

間違いない。あれはタヌキだ。

しかし、写真のタヌキとは大きな違いがあった。

ガリガリの痩せっぽちだったのである・・・。

写真のタヌキは皆一様にふっくらとしており、愛嬌のあるぬいぐみのようであった。

実際ぬいぐるみや絵に描かれるタヌキは、失礼なほどの肥満体になっていることが多い。

私が以前見たタヌキもそうだったが、このタヌキも細長い胴体をしており、故に最初は猫かと思ったのである。

そしてタヌキは、鼻を地面にくっつけて、臭いをかぐようにゆっくり歩いていたのだ。

タヌキ、お腹がすいてたのだろうか。

行く先は、住宅街である。何もありはしない。あったとしても、食べれば人間の怒りを買うものばかりだろう。

あっちにいけば迫害されるぞEE:AE5B1

タヌキよ、君たちの住む場所を奪い、食べるものを取り上げ、分け与えることもせずに迫害する人間を恨みもせず、ただ日々必死に生きていくのか。

共存よりも駆除の方が簡単なのだろう。私たちは一緒に生きる道を模索しようとせずに逃げているような気がする。

とりあえずタヌキくん、そっちの方に行けばベーシスト氏の家がある。

そこに行ってみてはどうか。

タヌキが何か美味しいものにありつけますよう、祈る。