ラーメンを食べに行った帰り道のことである。
ダンナが仕事から帰ってから行ったので、もう時間は夜の11時近くになっていた。
私たちの乗った車は家の近くの住宅地に入っており、スピードを落として人気のない道路を進んでいたのだ。
すると正面から、二つの光る目玉がこちらに向かってきたのである。
とっさに「猫だろう」と思った。単純に、確率である。珍しい事ではない。
ダンナはさらにスピードを落として進んでいく。
このように道端で猫に出会うと、その柄や形状を見て、どんなにブサイクでも「可愛いねぇ」などと言うのが慣わしである。
二つの目玉は、ピョンピョンと跳ねるようにこちらに向かってくる。
蛇行して、どうやら少し興奮しているのだろうか。
近くなってくると、どうやらそれは猫ではないことが分かってきた。
ちょっと大きい。
というか、ふっくらとして、猫っぽくないのである。
犬か。確率だ。こんなところをひとりで歩いているのは、猫の次に犬である。
ダンナも猫ではないことに気づいたようで、ゆっくりと車を停める。
その動物は、まるで酔っ払ってでもいるようにクネクネ蛇行しながら、私達の目の前を横切るようにして去っていった。
ヘッドライトに照らされたそれは、
「タヌキ!?」
実はここ東村山では、ありえないことではないらしい。ダンナも一度見ている。
私もここからそう遠くない西武園で見たことがあるが、ちょっと待って、うーん。タヌキって、こんなんだったっけ?
西武園で初めて野生のタヌキを見た時に思ったことは、「意外とスリム」であった。
タヌキというが、顔も胴体も細長く、キツネのような感じである。
ところが今、目の前を横切った暫定タヌキは、むしろタヌキである。いわゆるマンガに出てくるような真っ当なタヌキのイメージそのもの。
体型は丸く、顔も横に平べったく、愛嬌のある顔であった。
気になるので家に帰ってから画像を調べてみたが、あれはタヌキではなかった。
尻尾が決定的に違う。しましまだったのだ。
アライグマである。
なんでこんなところにアライグマがいるのかは謎だが、「アライグマ駆除」というキーワードがたくさん出てきたところを見ると、案外そこらじゅうにいるものなのかもしれない。
ペットショップで買ってきて、飼いづらくて捨てられる、という話を聞いたことがある。
友人も飼っていたことがあり、大変なイタズラ好きとのことで苦労していた。
元気が良さそうな子だったが、一体どういう経緯であんなところにいたのか。飼い主がいるなら、早く手元に戻してやりたいけど、あの動き。ありゃそう簡単には捕まらないだろう。
どうなることやら。
余談だが、久米川駅近くで暫定悪魔も見たことがある(笑)
あれは何だったんだ、一体。