人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

2023年の花火大会

最後の花火大会は、2019年であった。そう、コロナ以前の話になる。

コロナによって花火大会は長い間中止になっていたが、そろそろ再開してないか??と思った時にはもう、西武園はリニューアルしてイベント自体がなくなっていたのであった。

残念だ。大残念だ。

その代わりに、ライオンズ夏祭りというイベントで花火が上がるらしい情報を入手、予約席があったので行くことにしたのである。

 

屋台やステージでの催しもあり、まさに「祭り」だ。とは言え、もう色々と疲れる年頃なので、花火大会に合わせて家を出る。

一応つまみと飲み物は持って行ったが、正解だよ、屋台高い!!!冗談じゃないよ、ってな値段であった。

予約席も西武園の花火のようなテーブル席ではなく、パイプ椅子がズラッと並んだもの。

まぁ座れるだけいい。大人しくそこに座り、持って来たサワーを飲む。

 

それにしても、不穏な空だ。

灰色だった空はやがて夜の濃いブルーに変わっていったが、そこからポツリ、ポツリと時々雨粒が落ちて来たのは花火が上がるほんの少し前であった。

「雨が降ってきました!!」「いや~~大丈夫ですかね!?」

ステージではお笑い芸人が声を張り上げている。その間にも雨は、少しずつ勢いを増していく。

なんちゅうタイミングよ。折り畳み傘を差した。

家を出る頃には降っていなかったので、傘を持たない人も多い。たまらず席を離れる人も。

 

「傘はご遠慮ください。」視界の問題か周りへの配慮か、アナウンスが入る。

「えっ!?これで傘さすなと!?」

「・・・傘禁止って書いてあった。カッパにしようかと思ったんだけど、時間がなくて・・・。」

仕方なく傘を閉じる。花火が上がる。4年ぶりである。こんな状況でもやはり気分は盛り上がっていく。

 

「わ~~!!」

「これよこれ!!」

 

などと言っていたのは、しかし最初のうちだけであった。

雨はどんどん強くなり、とうとう土砂降りに。

気休めに頭に被ったタオルもズブヌレで、もう何の意味も成していない。

「・・・どうする!?」ダンナがこちらを窺う。

もうここまで濡れたらどれだけ濡れても同じだ。4年ぶりの花火も見たいし、私はしぶとく残った。ダンナも観念した。

この時点で同じ状態で席に座っていたのは、2割ぐらいか。これは多いのか少ないのか。

 

とうとう最後まで花火を見切って、やっと席を立った。全身余すところなくズブヌレだ。帰りたい。もう後はそれだけである。

電車を乗り継いで、家に向かう。今度は寒い。体を拭こうにも、タオルもハンカチも濡れているのだ。

電車の席は空いていたが、濡れているので座ることもできない。バスを待つにもベンチが濡れるので座れない。わざわざ離れた屋根のない濡れたベンチで待った。

 

家に着いたらとにかく乾いたタオルで全身を拭き、乾いた服に着替える。寒い。暖房をつける(笑)

温まりながら、残ったワイン(ワインも持ち込んだのである。)を飲む。

自分達のことで精一杯だったため気が回らなかったが、どうやらミッツは雷で相当怖い思いをしたようで、翌日はすっかりしょんぼりしていた。お散歩もボイコットで、ダンナが抱いて戻ったらしい。

 

とんだ夜であった。

西武園の花火でも雨の事はあったが、こんなことになった記憶はない。そもそもこんなに濡れたことが過去にあっただろうか?

 

これが2023年の花火大会である。