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「ハイハイハイハイ、スマホ充電しとくよ~。」
3日後の昼、私はまた布団の中からダンナのこのセリフを聞く。
「う・・・。たぶんその辺に・・・。」
返事も同じだ。「その辺」か「バッグ」ぐらいしか、深夜にスマホが行く先はない。
「・・・ないよ。」
今回は私が布団から出ようともしなかったので、ダンナがバッグの中まで探したのだが、ない??
う~~~、二日酔いだ。ギリギリ残った気力で、スマホのありかを思い出そうと試みる。
昨日は相当飲んだ、スマホいじって寝る余力なんかなかったと思われ。
「コートのポケット・・・。」
「・・・ないよ・・・。」
とりあえず体を起こし、今度は自分でバッグの中をまさぐってみる。
ある訳がない。
ダンナが遠慮なく中身を全部出して、ひとつずつ戻した後である。
その間にダンナはリビングに戻っていった。恐らく探してくれているだろう。私はベッドで前夜のことを思い出してみる。
ええと、スタジオ入って、飲んで、その後居酒屋行って、一度解散してから残ったメンバーでもう1軒行って、シメにラーメン食べて、タクシーで帰った。
携帯、使ったっけ??
2軒目と3軒目で、出したような気が。
まぁお店ならそんなに心配はいらない。こっちから電話してみよう。
やがてダンナが「ない。どこにもない。」と報告に来た。
うむ、分かった、下がって良し。
じゃあ一応またauの位置検索で、場所を確認してみるとしますか。
ところがGPSの位置検索によると、携帯は意外なところにあったのだ。
ごく近所である。
ひょいっと顔を出せば見える、裏手の小さな工場であった。
なんでそんなところに??
この近所の人が持っている、ということは、この近所の人が拾った、ということだ。工場なら、出勤の途中だったかもしれない。
とすると私が落としたのは、この近辺ということになる。
そなると、タクシーを降りてから家に入るまでが怪しい。
記憶がないので何とも言えないのだが、そんなところに携帯を落とすだろうか。
タクシーの中で使って、ポケットか何かに入れっぱなしだったのか?
とにかく今それは、裏手の工場にあるとのことだった。
私は直接行ってみた。
近いのに、初めて入る場所である。
その辺一帯は工場地帯になっており、用もないのに入る場所ではないのだ。
一番奥にあるそのS作業所という工場は、個人経営と思しき古くて小さな建物であった。
どこにもインターフォンというものはなく、出入りできそうなドアや引き戸はピッタリと閉まり、人の気配もない。
ノックしてもまるで反応がないので、2階に続く階段を上がってみた。
ペンキがところそころ剥げた階段にはツタが絡み、鬱蒼としている。
どうやら2階は住居のようだ。
ベランダには大量の植木がこれまた鬱蒼としていて、独特な雰囲気が私を拒んでいた。
やはりインターフォンはなく、応答もなかったので、そこを後にした。
正直に言うと、この家の住民が私の携帯を持っているかと思うと、気が重くなった。
時間は、昼休みだ。
また出直そう。
~つづく~