さて、胃のレントゲンを終えて赤い粒をもらって帰ったが、私はそれを家に帰ってしばらくしてから思い出した。1時間程度経ってからだっただろうか。
やがてそれはちゃんと功を奏し、ポンッと卵でも産むように簡単に目的を果たした。
これにて完全に「胃部レントゲン」というアトラクションは終了したはすであった。
何時間経っただろうか。
夕方になって私は、あることに思い当たった。
確かにブツは出したが、私は確認をしていない。
前夜から絶食していたとはいえ、もともとお腹にはいくらかのEE:AE4F5が入っていたのではないか?
さっき出したのは、いつのものか??バリウムなら白かったはずだ。
てめーの排泄物をいちいち見てから流すような習慣がないため、未確認で流してしまった。
ということは、もしかしてまだバリウムが腸内に残っているかもしれないということだ。
下剤までよこして早く出させる理由は、「時間が経つと固まる」からである。
固まる?
固まったらどうなる?
・・・固めてはいかんEE:AE5B1
下剤、追加。
夜になるとお腹はゴロゴロと痛み出した。
おいでなすったね、あとは自然に便意を待つだけだ。
しかしそれは、待てど暮らせどやって来ない。
腹は「出せ」と要求しているのだが、尻が「まだじゃ。」とどこぞの長老のようにガンコに頑張っているのである。
このまま自然な便意など待っていては、永遠に訪れないかもしれない。
もしくは、訪れたときには腸内がバリウムで固まっているかもしれない。
これは努力して出さなくてはならないケースか。
寝る時間まで待って、仕方なくトイレに入った。
相変わらずお腹はゴロゴロいって痛い。ところが長老は知らん顔である。
フンムー、と腹圧をかけてみたが、低音のブラス系の音が聞こえただけだ。
ウキウキすることを考えると催すことがあるので、私はBBQのことを考えた。
イテテテテ・・・、お腹が反応してるよ、早く開けてよ、長老EE:AE5B1
今度はお腹をギュウギュウ押してみた。猫が便秘の時にやった技だ。
グルルルルルッ、といって差し込むような痛みが走ったが、もう長老の天下である。
どんなに頭を下げても、どんなに周りが説得しても、奴の一存で簡単に却下されてしまうのだ。
私は諦めて布団に入った。
これだけ腹は騒いでいるのだ。そのうちクーデターでも起こすだろう。長老よ、そのとき悔いるがいい。
布団に入り、いつも通り「眠りへの儀式」を始める。
横になったままスマホを持ち、キャンディクラッシュをロードしたその時だ。
私は何度も繰り返し読んだ「ベルサイユのばら」の、革命を思い出した。
庶民のにわか軍隊が、丸太を積んだ荷車で武器庫へ突っ込むシーン。今まさにそのような場面なり。
飛び起きてトイレに走り、長老はガンコなだけでさほど強くはなかったことを知った。
今回も便器を覗き込んで確認するようなことはしなかったが、「こんだけ出りゃ、間違いないだろう」というほどの充実感があったので、引き上げたのだった。
バリウムで冷や汗かいたのは初めてだ。
腸内で固まられるより、ゲップで怒られたほうがまだマシである。
今後は家に帰ってからの方の攻略に、力を入れたい。