人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

鍵の行方

かったるい休み明けだが、休み明け故に家事がたまっている。

なんと6時に起きたが、しかし結局ネット遊びの時間が増えただけであった。

腹が減っていた。

休日の4日間と休前日の1日、計5日間遠慮なしに飲み続けだ。

飲み過ぎると腹が減る。

体がラーメンを欲している。

朝からサッポロ一番ぽ子スペシャルを食べてしまった。

途端に眠くなった。

以前、ラーメンには睡眠薬が入ってる疑惑、と言ったことがあるが、ここのシェフは私だ。

一体どの段階でどこに入れられているのだ、睡眠薬。

ゲームをやりたかったが、ソファに座ったりしたら「あっちの世界」への誘惑だらけである。

今日もゲームは諦め。

音楽室へ向かう。

今日から新曲だ。

ピアノピース郡の中から「月光」を探さなくてはならない。

数十冊あるペナペナのピースの中の1曲。

しかし適当にガバッと引っ張ったら、1楽章がなくなって逆さまになった状態の2楽章が出てきた。

ほ、ちょうどいい、2楽章を弾こうと思っていたのだ。

短い曲である。

これまで「課題曲」として2曲弾いてきたが、それぞれ「もうこれでいいや」というところで発表会をやって、次の曲に移ることにしていた。

発表会と言っても客はひとり、しかも身内のダンナである。

相手が身内である気の緩みと、中途半端な緊張で、毎度ボロボロである。

しかし聞かされる側というのは、しかるべき反応をしなくてはならない。

絶対に下手な演奏に対して、毎度暖かい言葉を用意しなくてはならないダンナの仕事は、しかし無償のボランティアである。

せいぜい私の才能を発掘し、育てていくがよい。

本日より、これにギターの練習が加わった。

どんどん朝の貴重な時間が個人的なことに持っていかれている気がするが、どうせそう長くは続かないだろうからしばらく暖かい目で見てくれ。

暖かい言葉の次に暖かい目の要求。

頑張れ、ボランティア!!

チューニング、省略。

週に一度、ダンナの目の前でだけしかやらない予感だ。

「ドレミファソラシドレミファソラソファミレドシラソファミレドシラソファミ」

今日もこれだけ。

しかしちゃんと音が鳴るのは、せいぜい2割だ。

という事は、

「ド●ミ●●●●●●ミ●●●●●ミ●ド●●●ファ●レ●●●●●●」

という状態である。

DEPAPEPEは遠い。

ヴァン・ヘイレンはさらに遠い。

しかしだ。

練習を終えてリビングに戻ると、猛烈に眠くなってきた。

そうだ、今朝は早起きしちゃったのだ。

眠くて当たり前じゃないか。

何で我慢するのだ。

開き直ってウトウトすると「あぁ、せっかく早く起きたのに~。」

「起きたら昼になってるかもよ~。」という自分の声が聞こえてくる。

これで1時間経ってしまった。寝れば良かった。

仕事だ。

相変わらずギリギリの時間に出勤だ。

しかし。

ない(汗)

家の鍵がないのだ。

まじか、ない訳はない。

私は手当たり次第にありそうなところを探した。

これまでも、家の鍵や自転車の鍵が、出勤間際に見つからなかったことは何度もあった。

鍵だけでなく携帯や財布など色んなものが見つからない事があったが、鍵以外なら諦めて置いていける。

しかし、鍵がないと家を出られないのだ。

それでも、案外何とかなっていた。

大抵ひょっこり出てくるのだ。

ダメだと思っても諦めずにかっ飛ばせば、間に合ったりする。

これでオッチョコチョイな私もこれまで遅刻を免れてきた。

しかし、ひょっこり出てこない。

もともと時間に余裕なんかなかったから、すぐにタイムアップだ。会社に電話する。

「あのあの実は鍵がですね、鍵がなくて、えとえと、だだから・・・。」

電話を受けた課長の奥様に、ぽ子はテンパッてゾマホン状態である。

遅れると伝えたら、もう慌てる必要はない。

私はゆっくり思い返してみた。

最後に鍵を使ったのは?

昨日だ。

昨日ラーメン屋に行った帰りに開けた時。

いや、それならそのままどこかにやったりせず、ちゃんと定位置にかけるはずだ。

そうだ、娘ぶー子が開けてくれたんだ。

じゃあ鍵は?

ポケットか??

しかしあの時着ていた上着がない。

何度も探した。車の中も見た。

なぜ見つからないのだ?

ぶー子に電話してみる。

アンタ、勝手にどこかにやってないか?

「もしもし?!」と言った途端に、上着が見つかった。

音楽室のイスの上だった。

そうだそうだ、昨日のギターレッスンの前にここで脱いだのだ。

しかし何度もこの部屋も探したんですがね。

ちゃんと見えてたんですがね。

ところが鍵はなかった。

思わず「へぇ??」と言ってしまった。

もう探すところがない。

どうしたらいい?

しかしない訳がないのだ。

私はもう一度、同じところを最初から探していった。

なんとそれは、肩から提げていたバッグに入っていた。

何度も探したのに、あぁでもちゃんと見てはいなかった。

ぽ子は焦っていたのだ。

こんなに奥は見えません。

遅刻だ。

考えてみれば、良く今まで遅刻にならなかったものだ。

もっとちゃんと準備を、余裕のあるうちにしなくてはいけないという教訓である。

私のようなオッチョコチョイは、時々痛い目に会わなくては学習しないのだ。