人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

謎のスパゲッティ

昨日の話だけど、昨日はオヤジとオバサンとダメ親の話でいっぱいになっちゃったから、続きを今日に延長。

いや~、全く変なオヤジだよ、と思いつつ帰宅。

腹減った。

冷蔵庫にあるのは納豆ぐらいだ。

納豆、納豆・・・。今やカップラーメンと同じぐらいレギュラー化しているアイテムだ。

リビングに入ると部屋の中は生暖かく、納豆の臭いが充満していた。

マンガで何かひらめくとフキダシの中で電球が光るが、同じ要領で娘ぶー子とムッシュの顔が浮かんできた。

ムッシュとはぶー子のカレシである。似てるんですけど、かまやつに。

昼前から彼は来ていた。今もふたりではしゃいでいる声がする。

・・・さては入ったな。こんな洗濯物のジャングルに。

しかし納豆??

そしてパソコンの電源がつけっぱなしになっていた。

これはキッツーく叱ってあげなくてはね。

その前にぶー子がパソコンを使ってた証拠を挙げなくては。

実は、私が犯人だという確率も5分だ。

履歴を見るとほとんどが私が開いたものだったが、中に「謎のスパゲッティ」というタイトルがあった。

これか??私の記憶にはないぞ。

そのページを開くと、レシピであった。スパゲッティの。

キッチンを見に行くと、鍋に「『謎のスパゲッティ』と言って言えないこともないが」的なものが入っていた。

確かに謎なのだ。

ドロンと赤い汁にペンネマカロニが入ってる。こんなものは生まれて初めて見た。味の想像すらつかない。

私は腹が減っていたのだ。

スプーンで鍋から直接食べてみる。

ケチャップとコンソメを煮てとろみをつけたような味だ。

うまい・・・?何だこりゃ??そこのところが良くわからない。

うまい気もするが、うまくない気もする。

謎だ。

そうか、それで「謎のスパゲッティ」なのか?しかし麺、なかったのかね。

ところで納豆臭も謎である。

確かに納豆のパックがひとつ捨ててあったが、それを食べただけでこんなに部屋中臭うものだろうか。

そんなことを考えながら、結局その謎のスパゲッティを半分食べてしまった。

「お帰りー、あのね、」ぶー子がリビングに飛び込んで来た。

「あぁ、うまかったよ、鍋の。」と言うと、「なぁんだ、良かったら食べてって言いに来たんだけど。」とぶー子。

私が、食べるものをいちいち断って食べることなどないと、まだ気付いていないようだ。

逆は許さないが。

「納豆臭い。」と、謎スパをご馳走になっておきながら、責めるように問い詰める。

「あぁ、あのね・・・。」

ムッシュが納豆スパゲッティを作ったらしい。

えっ!?キッチンにムッシュ入れたの!?全てが汚くて恥ずかしいんですけど。

つーか納豆スパって、どんだけパスタ食べてんの!?

って、もしかして、謎のスパゲッティってどっちよ??

私が食べたの何!?

正解は、どちらも謎スパではなかった。

謎スパはレシピを見ただけで、作れなかったらしい。

じゃ、なおさら私が食べたものは何だったんだ??

ぶー子が部屋に戻ると、ダンナが帰ってきた。

彼は必ずインターホンを鳴らすが、その音に反応していつもエルがリビングのドアの前までお迎えに行く。

その確率はほぼ100%だったのでダンナの目尻は下がりっぱなしだったのだが、先日は寝ていてお出迎えをしなかった。

キャットタワーのてっぺんで、目をシブシブしてドアを見ていただけだ。

とうとう睡魔がダンナに勝ったのだ。

そして昨日は、エルの食事中に帰って来た。

厳密に言うと、もうほとんど食べ終わっていた、というあたりだ。。

エルはとりあえず全部食べきってから顔を上げ、やっと体の向きを変えたのだが、それ以上動かなかった。

ついに食欲がダンナを上回ったのだ。

昔、「ザ・ベストテン」という歌番組があり、サザンが「いとしのエリー」で9週連続1位だった事があったが、10週目で順位が落ちてしまった。

彼らは、10週目の1位の時に着るはずだった紅白の衣装を洗濯物のようにぶら下げたセットで演奏したのだが、どんな人気も時の流れには逆らえないのだ。

ダンナの順位はどこまで転落するのか。

こうなると、ダンナの中の私の順位が上がるはずだ。

そろそろ旅行でも行きたいと思っていたのだ。

そう遠くない話かもしれない。