人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

障害猫

朝の面会に行ったら、なんとエルは普通のケージに入っていた。

「移ったんですね!!」と喜んで聞いたら

まだお試し段階だと。

少しずつ慣らさないと、普通の酸素の状態に順応できなくなるかもというのだ。

それでも1歩進めたことが嬉しい。

嬉しかったのですが。

これまでは酸素室のケースから出たがって大騒ぎしていたのに

実際出てみたら全然元気がないのだ。

「こっちに入れたらしょんぼりしちゃって・・・。」

しょんぼり。

なかなかかわいい表現だが、ムチャクチャ心配だ。

やはり目が見えてないようで、水の入った皿の上に、平気で足を突っ込んで歩いている。

そしてこちらの呼びかけも聞こえているのかいないのか、無反応だ。

目が見えないのに急に環境が変わって不安なのだろうか。

手の平に乗せ、頭を撫でているとゴロゴロと喉を鳴らし始めた。

かわいそうなエル(泣)

私が一生守るからね。

「やはり見えてませんね。首の震えも神経的なものかもしれません。

呼吸困難がひどかったので、低酸素状態になって脳に酸素がいかなかったのでしょう。」

低酸素の後遺症か・・・。それでは治らないだろう。

「まだ子猫ちゃんですからなんとも言えません。」

そう言ってくれたが、これ以上ガッカリするのはもう辛い。

この辺で覚悟を決めておこう。

ついでに言うと、耳も怪しい。

目もそうだが、見える聞こえるの問題じゃなくて、

伝わるのが鈍いとか反応が鈍いとか、そんなんかもしれないが。

とにかくコミュニケーションがストレートにとれないのだ。

ここに連れて来て入院になった時はひどい呼吸で、

それこそ窒息に近い状態だったんだろう、

ここまで持ち直したのはほとんど奇跡です、と先生は言った。

奇跡。

先に死んでしまった元気勇気に、私たちは何度も祈った。

たくさんの人たち(その中には会ったことすらない人もいる)が祈ってくれた。

エルは死ぬ運命だったのだ。

でも、元気勇気が、みんなの祈りが救ってくれたのだ。

後は私たちが頑張る番だ。

ウチにいた時のエルは、私たちの姿を認めるとニャーニャー鳴いて寄って来た。

もうそんな姿は見れないだろう。

あれはプレゼントだったのだ。

これからずっと暮らしていくエルからの。