「もう元気になりましたので。」
起きてリビングに下りると、ダンナはもう起きていてこう言った。
「でも体力がヘロヘロなので今日一日休みますが、そこでお願いがあります。」
なぜこんなにダンナがかしこまっているかと言うと、寝込んでいる間、私は不機嫌にほったらかしていたからだろう。
「今日中に動けるようにしたいので、やれることは自分でやらせてください。」
そのせいで、こんな申し出をしたのかもしれない。
だからと言う訳ではないが、週末にできなかった買い物のために車を出させ、昼にはマックのアイダホバーガーを食べた。
病み上がりの体と胃袋、酷使。
布団を干し、取り込み。
仕事から帰れば、猫を病院に連れて行く。
意地悪をしている訳ではないが、不機嫌だった事には理由があるのだ。
ダンナは私が寝込んでも、何もしてくれないのだ。
前回は二日間、寝室に顔すら出さなかったと書いてある。
「何もしなくていいよ」「休んでて」と毎度言ってくれるが、その分を誰かがどうにかしてくれる訳ではないのだ。
やらなかった事は、全て自分にかかってくるのである。
それが分かっているから、よほど悪化しない限りは動かざるを得ない。
動くから「まだ元気」とみなされる。
いよいよ寝込むと放置だ。
もう家族の誰にも何も期待はしていない。
だからその仕返しかと言えば、ちょっとニュアンスが違う。
何かをしてあげる気にならないのである。
この状態はかなり前から繰り返されているが、もしかしたらダンナが優しくないのは、私が優しくしないからかもしれない。
一体誰が先だったのか。
・・・しかしそんな性格の悪いのは、どうせ私である。
あながち若い頃に、ダンナが寝込んでつまらなくてヘソを曲げたりしたのだろう。
やはり、健康で元気なのが一番である。
週末のように買い物しながら外で食べる昼ご飯の事を考えたりして、風邪を引いたダンナをほったらかした事をちょっと悔やんだりしたのであった。