人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

松本さんの成功、ぽ子の失敗

最後に行ったのは、去年の11月14日になる。

かれこれ9ヶ月ぶりの美容院である。

毎回「すいぶん開きましたねぇ(笑)」と言われるが、こんなに行かなかったのは久しぶりである。

というか、そもそもが「久しぶり」なので、超久しぶりという事だ。

別に髪を伸ばそうと思っていたわけではないが、単に金がかかるし面倒で延ばし延ばしにしていただけで、この9ヶ月で髪は背中に届くほどになった。

ダンナは昔、髪の長い女性が好きと言っていたが、「もう切ったら?」とあからさまに言うようになった。

そんなに見苦しくなっていたのか。

美容院へは、必ずカタログを持って行く。

この頃はネットで選んでそれを印刷して持って行くが、それをやったのは昨夜、寝る前である。

「ヘアカタログ」で検索してかたっぱしから開いていったが、2時間である。

もうこの際バッサリ短くしてしまおうと決めてはいたが、どれを見ても気に入らないのだ。

これは・・・、美容界がもう終わっているのではないか?

違う。

私が遅れているのである。

これには焦ったが、無理して気に入らない髪形にもしたくない。

しかしさすがに無限の情報を持つネットワールド、こんな私でもいいと思えるスタイルを、2時間かけていくつか見つけ出すことができた。

もうノルマは果たしたのだから寝ればいいのに、そこからさらに飲んでしまうのがぽ子である。

気がついたらダイが皿の上で寝ていて、「猫鍋」ならぬ「猫メシ」になっていた。

時間をかけて30枚の写メを撮る。

やっと寝る気になったのは3時半だが、これだけ起きていれば思い残すことはない。

これが私の理想の就寝時間なのである。

しかし本能のままに眠るのが許されるのは週に二日。

・・・でもないか(笑)

ダンナが着替えに寝室に入ってきたのは、翌朝の10時過ぎであった。

げげっ、美容院の予約の時間が迫っている。

平日も休日も、ギリギリ人生である。

美容院でお腹が鳴るのは恥ずかしいので、筋子の残り汁(本体なし)にご飯を浸して食べた。

後で喉が渇いて辛い思いをする。

「これはまたずいぶん・・・。」

私の伸びきった髪を見て、担当の松本さんは、苦笑した。

そもそも彼から「ずいぶん」という言葉を聞かなかった時はないが、さすがに今回は驚いていた。

「バッサリやって下さい。お願いします。そしたらもうこれからはちゃんとこまめに来ます。」

私は真面目に言ったのだが、松本さんはそれを聞いて「ハハハ」と笑っただけであった。

2時間後。

松本さんは、本当に腕のいい美容師である。

ちゃんと、私の持っていった写真通りにしてくれた。

だからこれは、私の失敗である。

全然似合ってない。

40過ぎたらショートはいけない。

軽く5歳は老けた。

私はガックリと気を落としながらも、松本さんに対して「素晴らしいです」という笑顔を向けて帰ってきた。

バッサリやってもらったので、これが肩に届くまでには結構な時間がかかる事だろう。

次に松本さんと会うのは、またかなり先になりそうだ。