ダンナと結婚して20年。
色んなことがあったが、ひとつずつ乗り越えて、今の形を作ってきた。
思いやり。
それが夫婦に一番必要なものではないかと、今、改めて思う。
私達はあまり隠し事をせずに、ありのままでぶつかり、話し合ってやってくる道をとっていた。
それには我慢、忍耐、辛抱というものが要求されるが、それによって譲り合い、思いやる事を知ったと思う。
しかしこの頃思うようになった。
「知らなくてもいい事もある。」
知らない方がいい事も。
それを知る事によって心は揺れ、傷つくこともあるのだ。
もういい、言わなくても。
その時は何となく判るから。
そう言って私は、自分を守る事を選んだのであった。
それから私達の間に「タブー」ができてしまった。
ダンナはそしらぬ顔をして帰ってくるが、分かる時もある。分からない時もある。
しかしそれには触れない。
私は迷いたくないし、知りたくもない。
聞きたくない。
考えたくもない。
今私は、予感がしている。
悲しい事に、感じてしまうのだ、そういった空気を。
でもダンナはいつものように帰ってくるだろうし、そこから私も何かを言わせるような事はしない。
揺れるから。
揺らぐから。
ダンナは何も言わずに風呂に入るだろう。
そして何も言わずに冷蔵庫に向かい、
ビールを取り出すだろう。
私はその不思議な飲み物には気付かない。
揺れるから。
揺らぐから(泣)
こうして平日の酒を飲まない努力をしているのだが、今夜は予感がする。
理由はない。
予感だ。
私?
昨日飲んでないしね。
いいんじゃね?今日は。