人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

NOと言わない日本人

練馬でラーメンを食べた後に駅前の平成つつじ公園でつつじを撮り、ひばりヶ丘まで戻ってウォーキング、というのが本日のゴールデンプランであった。

難易度は低いからナメていたが、障害は意外なところにあったのである。

練馬駅前のラーメン屋では「ミニラーメン」にするか迷い、「足りなくて後悔するより苦しくて後悔する」を選んだ結果、苦しくなって店を出た。

つつじ公園ではまるでそれだけをインプットされたロボットのようにひたすらつつじを写真に撮り、「こんなにつつじばっかり撮って、後で見たら結構つまらないんだよね・・・。」と言って公園を後にした。

つまならいものを撮りまくったというつまらない行為を少々悔やみながらコンビニに行き、「食べ過ぎた」というつまらない行為のために黒ウーロン茶を買うという無駄な努力をした。

ダンナはもう努力は投げたのか、いちごのラクトアイスを食べていた。

「グッドプライス」と書いてあったようだが、「で、いくらだったの??」と聞くと彼は「知らない」とシレッとして言った。

どう見てもホームランバーの姉妹分でそりゃ確かに値段に不安のないものに見受けられるが、値段も確かめずに物を買うなんていう行為、まるで金持ちの日常のようで驚いた。

いまだに値段は分からないが、凄いことしたなぁと呆気に取られていたぽ子である。

ひばりヶ丘の一つ前の駅で猛烈に眠くなったが、「歩きたくないんでしょ」と言われたくないので平然として電車を降りた。

「ここから結構歩くよ。」ダンナが念を押すように私に言った。

私が行きたいと言ったコースである、覚悟はできていたが、ハッ、そうか、そう言えば今度はダンナの体調が崩れつつあったのだ。

これは遠まわしの「止めませんか」なのだろうか。

「体調が悪いようだったら今度にしよう。」

ダンナは野生の子リスほど臆病な(私に対してだけか)人間なので、具合が悪くてもきっと「今度」とは言わないだろう。

案の定「でもなかなか来れないよ」というあいまいな返事が帰ってきた。

つまりこれは「また今度」という事なのだろうが、いや、そんなのは勝手な思い込みではないのか?本当は彼も楽しみにしていて、多少の無理はしても行きたいのかもしれない。

「もっと体調が万全の時でもいいよ、近いんだし。」

再確認の意味をこめて別の言葉で問う。

「でもつつじの季節は今しかないよ。」

う~ん、どっちだ。

ラーメン屋で「寒いから店員にドアを閉めていいかどうかを聞いたら『大丈夫』という返事が帰ってきて困惑した」という話をしたばかりだったが、同じぐらい分かりにくい返答である。

「具合はどうなの?歩ける?結構遠いんでしょ?」

「んー、喉が痛い。」

・・・。

なまじっか理解できる言語なだけ、英語を話せない日本人と日本語を話せないアメリカ人以上に難しいやりとりである。

日本には相手を思いやるという文化があり、本音を包み隠すので想像力が必要となる場合がある。

私はこの習慣を愛していて、「NOといえない日本人」などと野蛮なノータリンな言い草は好きではない。

しかし時に、自分の想像力を超える事もある。今がそれだ。

ヤツらなら「ハッキリしろよ、オラ!」と言うかもしれないが、ダンナがハッキリ言わないのは私を思いやっているからなのである。

ちょっとぐらい無理しても行ってもいいが、私の行く気はどれ程なのか計っている段階なのだ。

ここで私が「行きたい」か「今度に」と言えば早いのだろうが、今度は私の思いやりが働く番である。

「私はいつでもいい。アナタの具合次第。」

「喉が痛い。」

「じゃあ今度にしようか。」

「でもなかなか来れないよ。」

無意味な繰り返しで時間は過ぎ、やっと「本当に行く気があればダンナはとっくに『行こう』と言ってるだろう」という事に気付いた。

私の思いやり不足である。

日本人とは奥の深い人種である。

行かないことに決定はしたが、せっかくの休日、しかもこの晴天。

代わりにどこか・・・という事になったが、これだけ優柔不断なふたりである。

決まらないまま自宅に近い駅に向かう事になった。

私達が降りる秋津駅の一つ前の駅で猛烈に眠くなったが、秋津で何か楽しいことが待っている予感がしたので頑張った。

楽しい事というのは昼でもやってる居酒屋さくら水産あたりで飲むという事だが、結局ここでも「どうしよう」「どうする?」と言った挙句に「迷ってるなら帰るか」と言って帰ってきたのである。

あとはいつもの休日だ。

寝て、起きた。もう夜である。

何だかアホらしい1日に見えるかもしれないが、私は物事をズケズケ言う人間やワガママな人間は苦手なのだ。

むしろ思いやりに溢れたいい1日だったと思う。

アホらしいけどね(笑)