人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

始動

1時間半もかけて磨いた風呂場の床に、誰も気づいてくれないのであった。

まぁ家中、散らかって汚いところだらけなのだ。

風呂の床ひとつきれいになったぐらいで、誰も気づきはしない。

しかし、頑張って家事計画を立て、実行していた時期もあったのだ。

何か、あったはずの時間が少しずつどこかに吸い取られているようだ。

せいぜい掃除と洗濯、アイロンがけあたりをしたところで、タイムアップなのだ。

だから、問題点が一向に改まらない。

例えば壁のコルクボード。

サービス券や習い事のスケジュール、レシピなどが貼られているが、貼りっぱなしで増える一方である。

サービス券などは貼った事で安心し、やがて忘れ、使わないまま期限が切れるのだ。

そのような事がないように、こうして見えるように貼っているのだが。

例えばダイニングテーブルの上。

うちは3人家族なので、1人分スペースが空く。

ここにとりあえず置いた雑誌やチラシ、ダイレクトメールがそこに定位置化してしまっている。

馴染む、というのは恐ろしいもので、これを見ても何とも思わないようになってしまった。

なので、アレが積んである状態で、片付いているのだ、私には。

この「慣れ」というものは、片付けの大いなる敵である。

風呂場には空になった詰め替え用のシャンプーの入れ物、古くなったカミソリ、使い終わった洗顔フォームのチューブなどが溜まってくるし、

本棚の上のワインラックのスペースには、最初はアイロンが、次におかずを猫のつまみ食いから守るビニールキャップ、そしてレシピの切り抜きに古い電球。

シャレたスペースにしたかったのに、いつまでたっても垢抜けない生活感のある物置である。

しかし、少しずつながらも「毎日の掃除」の他の箇所に手をつけられていた頃もあったのに、時間はどこに行ったのだ??

ゲーム。

ピアノギター。

パソコン。

全て娯楽ではないか。

しかしだよ、じゃあ私にいつ娯楽しろと言うのだ!!

たかだか15分や30分じゃないか。

あ。

それを全部足すと、キッチンの収納棚が片付きそうだ。

そうか・・・。

いつも時間のなさを嘆いているが、ちゃんと時間はあるのだ。

好きに使っているのだ。

しかしこのままでは、ゲームは先に進んでも家が片付かない。

全部欲張りたいのだが。

考えた。

そうだ、いつも効率が悪いのだ。

ダンナや娘ぶー子がいる時には見栄を張って遊ばないのだが、実はその時間が一番遊んでいる。

つまり、ボケッとみんなが出掛けていくのを待っているのだ。

しかし、そんな早朝からバリバリ働く能力がない。

朝はホゲ~ッとしているものなのだ。

ならば、やるべき事を前もって書き出しておけば良くないか?

でも、家事計画表計画はついえたのだ。

あんなもの、毎日でも毎週でもいちいち考えて計画できないっつの。

発案者・ぽ子だが。

では新しい提案をしよう。

やるべき事を一度にまとめて書き出しておいて、朝になったら目に付いたものに着手する。

その時の気分で選ぶが良い、ダメ女ぽ子よ。

早速私はテーブルに着き、やるべき事、掃除ポイント、我が家の問題箇所などを次々と書き出した。

パチンコ屋の広告の裏が、真っ黒に埋まった。

今日思いついただけで、88の課題が与えられた。

うんざりか?

それが、これを見たら俄然燃えて来た。

これはゲームである。

これらを早急に消していくという、挑戦なのだ。

今日の家事は「家事ポイントを書き出す」で終わってしまった。

しかしこれは、まっとうな主婦の午前を過ごすための伏線である。

明日はこの広告の裏のメモを、手帳に写して1日終わりにしたい。

・・・希望である。

こんなに小さくはかない希望が叶わないのは、私が小心者であるからに他ならない。

ハイ、明日からバリバリ働きますので、風呂の床、気付いて(泣)