人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

バッカントー

「今日は一緒にお風呂に入ろう♪」

家に着くなり娘ぶー子が言った。

どうしたと言うのだ?

彼女はもう高校生なのだ。

母親と一緒に風呂に入るという事が魅力になる年齢でもない。

「いひひひひ~♪」そこでぶー子はバーンとこれを出した。

入浴剤だ。

パチパチはじけるだとか

脂肪メラメラだとか、

これはかなりエキサイティングな入浴タイムになりそうだ。

「よっし、いくぞ~~!!」

お互いに「アンタが遅い」と相手を煽りながら、風呂場を目指す。

この入浴剤の効果を、できるだけ有効に余すところなく楽しむために

湯船に入る前に体も顔も頭も洗い、2人同時に入る事にした。

ところが我が家の風呂は普通の風呂だ。

2人も同時に体を洗えば、当然どちらかにしわ寄せがいく。

ぶー子は私の後ろで立ったまま体も頭も洗い、1個しかないシャワーも大人しく待っていた。

・・・なんて・・・いい子なのでしょう。こんな時ばかり。

ぶー子と一緒に何かやって、こんなに滞りなく進行するなんて珍しい事だ。

しかしあまりに滞りなく進行したので、私の方が先に洗い終わってしまった。

だから湯船に入ろうとしたのだが、「まだ待って!!同時に入るのっ!!」とあくまでこだわるぶー子。

このこだわりを勉学に生かしてもらいたい母親ぽ子であった。

さて、いよいよ爆汗の時だ。

ぶー子は子供のようにニコニコしている。

私は袋の口を切って中身を湯船にサラサラと落として行った。

赤いツブだ。

すぐに溶け込んでいった。その中にバスソルトのような半透明のツブが混ざっていて、どうやらそれが解けるとパチパチ音が鳴るようだ。

パチパチという音を聞きながら体中撫で回す。

とろみ成分が入っているらしく、肩など触ると納豆のように糸を引く。

「すげぇ~。すげぇ~~。」とぶー子は大喜び。

ところが私はこの後の事を考えていた。

もうすぐダンナが帰ってくるだろう。

「滑りやすくなるので注意」と書いてあった。

彼はこの、パチパチも全て鳴り終り、ただ滑りやすくなっただけのカス風呂に1人で入るのだ。

・・・と言う様なことを笑いながらぶー子に言ったら

「お母さん・・・。この入浴剤がパチパチなる事はお父さんに黙っててあげて。」と真顔でいうので爆笑してしまった。

いつも5分で風呂を済ます自分だったので、もう茹で上がりそうだ。

私は出たが、ぶー子は袋に書いてあった通りにその後も出たり入ったりしていた。

本当に痩せると思っているのだ。

ところでこれは昨日の話だが、「この風呂、今日はどうするかねぇ。」とぶー子に聞くと

「まだまだ入る。」と言ったので

今夜も皆、ねばっこい風呂に入った。

ねばっこいし色も付いてるし、こりゃ当分洗わなくても良さそうだな。