介護未満。まさに今、うちの父が当てはまるのだ。89歳。一人暮らし。
正直、完全な手詰まり状態で途方に暮れていたところである。タイトルに射抜かれた。
著者の父親は82歳。ここから5年間の彼女なりのケアを読む。
色々と参考になった部分も多いが、著者の父親は私の父より若く、比較的何でも言うことを聞いてくれる。また著者が非常にエネルギッシュでキレ者なので、「私にそこまではやれない」とだんだん他人ごとのようになっていってしまった。
著者本人曰く「上手く行かなかったことの方が多い」が、前向きで不屈の精神がネガティブなものを感じさせず、読んでいる側には羨ましいばかりであった。これが自分の現実を暗く見せ、落ち込むことになる。
実際には大変だっただろう。それでもここまでやったから勝ち取った現状だ。
それはもう、ほとんど尊敬と言ってもいい。
介護をロックフェスになぞらえ、父親を主人公にする。相手がミック・ジャガーなら多少の理不尽も腹が立たないと。
著者作のケアチャートもあり、参考になることもたくさんあった。
自分の状況と比較せず、いい部分を吸収出来ればいい。同世代の著者の、軽い語り口も良かった。
本当はこの先が読みたいところだが、あちらも現在進行形なのだろう。
私も進行形だ。不屈の精神で頑張っていく。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★
「介護未満の父に起きたこと」 ジェーン・スー
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