飲んで寝る日を減らしたので、本を読む時間が確保できるようになった。
実はこの前に1冊読んでいたが、宗教関係の本だったので感想が書きにくくEE:AE4E6
こんなに時間が開いてしまいました。
久しぶりに読みきった感じである。
これは著者・柳氏の介護記録である。
子供はなく妻と2匹の猫と暮らし、新聞記者として忙しい日々を送っていたところ、兄嫁と住んでいた父親を引き取ることになった。
柳氏の両親からはひどい扱いを受けてきた妻だったが、気持ち良く父親を迎えてくれ、新しいスタートを切ることができた。
しかし父親はボケが始まっていて、ここから戦いの日々のスタートともなるのである。
彼にとっては「父との戦い」ではなく、むしろ「妻との戦い」であった。
なぜなら彼は父親のボケを認めることができず、ただ妻に世話を押し付けて逃げていたからである。
介護は夫婦で協力し合わなければ成り立たない。
夫も妻も疲れ果て、やっと気持ちを一つにする事ができるには長い時間を要した。
これはそれまでの記録である。
記録としては、父親の行動や妻との葛藤などが生々しく書かれていて読み応えがあったが、話は入院した父親が転院したところで終わっている。
結局亡くなったようだが、「結論」のようなものが曖昧で尻切れトンボ感が残った。
1996年に出版された本なので、介護をめぐる環境はもっと改善されているように思うが、最後に柳氏が語った介護を巡る理想の社会に少しは近づいたのだろうか。
いずれ自分も突き当たる問題なのだろうが、コトが起こらないと実感がないのが本音だ。
私も彼らと同じような思いをするのだろうか。
乗り越える自信がない。
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「夫婦の親」 柳博雄
三五館 ¥1300