だから何EE:AEB2Fって話で、オチも何にもないんだが。
唐突に思い出して、そんなことがあったことをすっかり忘れていたことに驚いたのだ。
うっかり庭のナスを枯らせたとか、冴えないオタクに告られたとかのレベルではない。
中国残留孤児。
今でもまだその傷跡は残り、この存在自体は忘れ去られたことではない。
私が思い出したのは、テレビである。
子供の頃は良く、NHKで家族を探す放送をしていた。
写真、本名が分かれば名前、家族と別れた場所やその時の年齢など、分かる限りの情報を提示した。
まだ私は子供だったので意味が良く分からず、「時々やってるやつ」ぐらいに思っていたが、そういえばいつの間にやらなくなった。
それをふと思い出したのだった。
それで思い出したのは、やはり子供の頃、都心の方に出た時のことである。
退役軍人と思しき障害者が、物乞いをしていた。
母に「可哀想だ」と言うと、「政府からお金を貰ってるからいいの!」と言われ、「せいふ??」・・・そこで私の思考は母の思惑通り止まった。
今思うと子供相手に凄い返事だなと感じるが、人にも自分にも厳しい母は、こういったことにもドライであった。同情を嫌う。
幼い私に「政府」が何を意味するのかは分からず、何かどす黒く怖いもののように感じた覚えがある。
だから今もこうして覚えているのだろう。
どちらも全く見なくなってしまった。
解決したというより、時の流れで淘汰されていったのかもしれない。
人の命には限りがある。
孤児の家族も、退役軍人も、もうあまり残されていないのだろう。
先月亡くなった母が終戦を迎えたのは、18の時であった。