人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子57歳。

決戦

比較的、昨日は良く眠れた方だ。

天気もいい。

娘ぶー子は学校が休み、静かな午前である。

私は何度も庭に出る誘惑に駆られたが、もっとやらなくてはならない事を先に済ませなくてはならない。

なぜなら、ひとたびそこに出たら、昼まで戻れない気がしたからだ。

我が家は片付けなくてはならないところと、掃除しなくてはならないところの宝庫なのだ。

常に色んな部分に支障をきたしている。

特にこの頃は寝不足でやる気がなく、汚くて不便な家となっていた。

なので、今日はキッチンの棚の整理をした。

流しの上にあるその扉を開けると、カップ麺やらパスタやらカレールーやら、さまざまな物が乱雑に積まれ、なだれを起こしつつある。

実際に何度か起こったが、結局また適当に放り込むので、いつまで経ってもデンジャーゾーンなのだ。

この棚だけでイヤになってしまった。

10時半。あと30分か。もういいだろう。

私は庭へ飛び出した。

カタバミめ。

昨日は最後の晩餐を楽しんだか?

いよいよお前達を根こそぎ葬る時が来た。

私は、奴らが一番進出してきている場所に座り込んだ。

一面カタバミの絨毯である。

これがきれいになくなるのだ。さぞかし気持ちが良い事だろう。

狩猟本能が唸る。

攻略は「根から抜け」、ただこれだけの事である。

イモヅル式に剥がれていくはずだ。

コチョコチョ。

根は芝の下に潜り込んでいる。

適当にほじくると、赤くて太い根が走っている。

メリモソ!!

快感だ。このメリモソというイモヅル感がたまらない。

しかしだ。

それにしても良くここまで生えたものだ。

あまりにも良く生い茂っているので、葉が邪魔でなかなか根が見つけられない。

びっしり生い茂った葉をかき分けると、今度はしっかり根付いた芝がいるのだ。

セコムも驚きの厳重さである。

その上、繰り返すがあまりにも良く生い茂っているので、抜いても抜いても減っていかないのだ。

こいつら・・・。

FUCK!

しかもこれは何だ!?

たわわに膨らんだ種の袋が、大量に仕掛けられている。

これらは近くの根が抜ける刺激で、パン!とはぜる。

その度に大量の種が焼夷弾のように芝に降り注ぐのだ。

メリモソ!

パン!

メリモ・・・、

パン!!

メリパン!!

これでは種まきだ。

一度にこんなに蒔かれてしまうのだから、機械並みの大量生産、間違いなし。

私は種の方から抜いてやろうと思ったが、残念ながら種は根とは直結していない。

なので種だけを単体で千切ることになるが、何たる非効率。

しかも引っこ抜こうと思って茎をつかむだけで、爆発する。

見渡すと、タネ大砲(みなさん、FFは頑張ってますか)も果てしなくカタバミの中に広がっている。

ダメだ、きりがない。

わかったよ、・・・蒔きな。

そしてこの大地に生を受け、根を生やし、・・・私に抜かれるが良い。

しかし、種以上に葉が一面に生い茂っているのだ。

根を探し当てるのも困難を極め、私は心の中で「根読み師」という称号を作り出し、それを欲した。

・・・負けだ。

私は完全に負けた事を悟った。

30分で、見た目には何も変わらなかった。

大量の種が蒔かれただけだ。

くそ~、一部はもう枯れかかっていたから、放っておけばそのうち勝手に自滅するだろう。

逃げるんじゃない。

アイシャルリターン、私はまた来年、ここに戻る。

種が育つ前に。

雑草如きに手も足も出ず、ノコノコ引き下がったのだが、完全な敗北だ。

・・・カタバミ。

覚えておこう。

なかなか骨のあるヤツだ。

フッ。