どういう訳か、斜め向かいの家の猫に「朝ですよ~!!」「起きなさい~~!!」と散々鳴かれて目が覚めた。
ちょっと、全然早いんですけど。
泣きっ面に蜂、寝不足に猫だ。
諦めてヨレヨレと起きたが、二度寝か否か。
あぁ朝からそんな難問に頭を使わせて。
とにかく何とかみんなを見送った。
珍しく娘ぶー子が早く出て行ったので、意外と早く片付いたのだ。
で、寝るかどうするかと。
う~、う~。
実は心に引っかかってる事があり、「じゃあ寝よう」という気にもなれなかったのだ。
今、あの場所には平和が訪れ、皆安心して葉を伸ばしている事だろう。
来年まで停戦なのだ。
バカンスの計画だって立てられる。
しかしだ。
我が家の庭の一部がすっかり、芝ではなくカタバミになってしまったのだ。
知らない人が見たら、趣味でわざわざ育てたと思うかもしれない。
見事なカタバミの絨毯だ。
違います、これは芝生です。
去年、家事から逃げるために汗水流して刈りそろえた、普通の芝です。
いや~、見事なカタバミですね。
違うんです。
どうしたらこんなに、
ほっといたらこんなになっちまったんだよッッ!!
私は右手に軍手をはめた。
おとといから出しっぱなしだから、即、出動可能である。「即」と言ってもゲームをやった後だが。
ジャジャーン、ぽ子、登場!!
平和が来ると油断させておいて、奇襲攻撃である。
ぽ子、ニホンジンネ、卑怯ナ手ガ得意ネ。
もしかしたらぽ子の事をアメリカ人だと思っていた人、予想を裏切って申し訳ない。
昨日と同じ場所にしゃがむ。
ふん、全然変わってないじゃないか。どうしろってか。
作戦などない、こうじゃ。
ヤケクソでブチブチ、手当たり次第に引きちぎっていった。
上っ面しか取れないが、これは芝なのだ、カタバミ、GO HOME!!
タネ大砲が反撃する。
全身にタネを浴びる。
特攻じゃ!!特攻じゃ!!ブチブチブチブチ!!
タネを浴びつつも、攻撃の手を緩めない。
一時期戦争映画にハマッていた事があったが、これはいい画が撮れるはずだ。
「プラトーン」のジャケットに使えないか?
空襲警報~~!!
空襲警報~~!!
プチトランス状態のぽ子。
葉も花もタネ大砲も、一握りで千切りまくる。無差別攻撃だ。
トラトラトラ!!
「ワルキューレの騎行」を流せ!!
「こんにちは♪」
ハッ!!
我に返って振り向くと、テストを終えて帰って来たぶー子が立っていた。
ハァハァ。
カタバミを手に立ち上がると、タネまみれの私を見てぶー子が爆笑した。
あぁ、やはり戦争は人を狂わせる。
後には無残に荒らされたカタバミが残っているばかりだ。
しかし。
上っ面の葉を取り除いたお陰で、根が良く見えるようになった。
これで根こそぎきれいにできるかもしれない。
第3次カタバミ大戦、週明けに勃発の予感である。