人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

エンドレス・ウォー

どういう訳か、斜め向かいの家の猫に「朝ですよ~!!」「起きなさい~~!!」と散々鳴かれて目が覚めた。

ちょっと、全然早いんですけど。

泣きっ面に蜂、寝不足に猫だ。

諦めてヨレヨレと起きたが、二度寝か否か。

あぁ朝からそんな難問に頭を使わせて。

とにかく何とかみんなを見送った。

珍しく娘ぶー子が早く出て行ったので、意外と早く片付いたのだ。

で、寝るかどうするかと。

う~、う~。

実は心に引っかかってる事があり、「じゃあ寝よう」という気にもなれなかったのだ。

対カタバミ戦。

今、あの場所には平和が訪れ、皆安心して葉を伸ばしている事だろう。

来年まで停戦なのだ。

バカンスの計画だって立てられる。

しかしだ。

我が家の庭の一部がすっかり、芝ではなくカタバミになってしまったのだ。

知らない人が見たら、趣味でわざわざ育てたと思うかもしれない。

見事なカタバミの絨毯だ。

違います、これは芝生です。

去年、家事から逃げるために汗水流して刈りそろえた、普通の芝です。

いや~、見事なカタバミですね。

違うんです。

どうしたらこんなに、

ほっといたらこんなになっちまったんだよッッ!!

私は右手に軍手をはめた。

おとといから出しっぱなしだから、即、出動可能である。「即」と言ってもゲームをやった後だが。

ジャジャーン、ぽ子、登場!!

平和が来ると油断させておいて、奇襲攻撃である。

ぽ子、ニホンジンネ、卑怯ナ手ガ得意ネ。

もしかしたらぽ子の事をアメリカ人だと思っていた人、予想を裏切って申し訳ない。

昨日と同じ場所にしゃがむ。

ふん、全然変わってないじゃないか。どうしろってか。

作戦などない、こうじゃ。

ヤケクソでブチブチ、手当たり次第に引きちぎっていった。

上っ面しか取れないが、これは芝なのだ、カタバミ、GO HOME!!

タネ大砲が反撃する。

全身にタネを浴びる。

特攻じゃ!!特攻じゃ!!ブチブチブチブチ!!

タネを浴びつつも、攻撃の手を緩めない。

一時期戦争映画にハマッていた事があったが、これはいい画が撮れるはずだ。

「プラトーン」のジャケットに使えないか?

空襲警報~~!!

空襲警報~~!!

プチトランス状態のぽ子。

葉も花もタネ大砲も、一握りで千切りまくる。無差別攻撃だ。

トラトラトラ!!

「ワルキューレの騎行」を流せ!!

「こんにちは♪」

ハッ!!

我に返って振り向くと、テストを終えて帰って来たぶー子が立っていた。

ハァハァ。

カタバミを手に立ち上がると、タネまみれの私を見てぶー子が爆笑した。

あぁ、やはり戦争は人を狂わせる。

後には無残に荒らされたカタバミが残っているばかりだ。

しかし。

上っ面の葉を取り除いたお陰で、根が良く見えるようになった。

これで根こそぎきれいにできるかもしれない。

第3次カタバミ大戦、週明けに勃発の予感である。