12月2日は、ミュウの命日だった。あれから2年。本当に、あっという間だ。
酔った勢いでミュウの写真を探して見ていたが、最後の方はもうガリガリに痩せていて、まともに見ることができなかった。私の記憶のミュウは、もっとふっくらしてぬいぐるみのような子だ。トゥルニャン、と甲高い声で鳴く。ツンデレで、掴みどころのない子であった。
命日だ、呼べば何かが起こらないかと期待したが、何も起こらなかった。骨壺の写真も撮ったが、特別なものは写らなかった。
ミュウはもう存在しない。魂はどこへ?
母が骨になった時にも、愕然とした。肉体の消滅。
しかし、魂も残らなかった。呼んでも、返事があったことなどない。
私は時々考える。私の消滅。
どうしたことか、私は肉体から離れてしまう。肉体は空っぽだ。ただの器だけとなり、それもどんどん失われていこうとしている。死んだら最後だ。後はもう、失われるだけなのである。
私はどこかでそれを見ているだろうか。
棺は焼却炉に入り、私の体は燃える。
魂を具現化してきた、もうひとつの私。
「今生の別れです。」
シゲちゃんの霊柩車が去る時、斎場のスタッフが言った。今生の別れ。
もうその姿を見ることは、二度とない。
思い出は残るというが、儚いものである。人の記憶は脆い。そこに存在がなければ、失われていくばかりだ。
肉体が消滅した時、魂の、記憶の消滅は始まる。
ミュウよ、私はいつまであなたの思い出を抱えていられるのか。
手を合わせながら、思う。
別れは、辛い。
私もミュウも、どうしてこの世に生まれて来たんだろう?