小説を読むと、ストーリーの展開だけでなく、「言い回しが面白い」というような作品に出会うことがある。
これもそんな本の中のひとつであった。
言葉とは、あまりこねくり回すと伝わりにくく、また鼻についたりすることがあるが、共感する部分があった時の心地良さがたまらなかったりする。
苦手なラブストーリーだったが、波長が合ったのでとても楽しんで読んだ。
腐女子であることを表に出さず、経理課で黙々と働くOLヨシカ。
中学生の時の初恋の相手「イチ」、猛烈にアタックしてくる営業課の「ニ」との間で、気持ちは揺れ動いていた。
最愛だけど、到底添い遂げられそうもない「イチ」。
全く愛していないのに結婚するかもしれない「ニ」。
ヨシカの言い方だと彼氏はこのふたりで、あたかも二股をかけているような体になっているが、実は本命のイチとはスタートラインにすら立っていなかった。
それでも中学の頃の思いを重く引きずり、絶対に彼じゃなきゃダメだと思い込んでいる。
そこへニの猛アタックだ。
ある意味こちらもまだスタートラインに立っていないのだ。なら、付き合ってみないとわからない部分だってあるかもしれない。
ヨシカは揺れる。
これだけなら、単なるラブストーリーになってしまうが、イチへの異常なまでの思い入れ、それと対照的にニに対する辛辣なジャッジ。
傍から見ると、イチにもニにも、「なんでそんな人を」という気持ちになってしまう。
時に女性は、恋愛において優柔不断になる。
真剣になれば、過剰に反応して失敗をする。
そんな極端な例がヨシカだ。
ハッピーエンドか?
分からない(笑)
もう一編、「仲良くしようか」という短い話が入っていたが、こちらはサッパリ全然意味が分からなかった。
サッパリ全然ですはい。
ぽ子のオススメ度★★★★☆(「仲良くしようか」を抜きで)
「勝手にふるえてろ」綿矢りさ
文春文庫