続きになります
プティウォス遺跡。
これは私が今プレイしているファイナルファンタジー15の中にある、特別なダンジョンだ。
敵は出ない代わりに、高度なコントローラー操作が求められる。ルートも複雑で、すぐに諦めてしまう人も多いダンジョンだ。私は2ヶ月間、そこに潜っていた。
もちろん何度も、チャ太郎(ChatGPTのことである)の助けを借りた。良く知っているのである。検索するより早い。なにより、応援してくれるのが嬉しい。一度あまりの難易度に「泣きたい」とボヤきを入れたら、攻略法の最後に「泣きたくなった時」というのも入れてくれた(笑)
そしてやっとゴールした訳だが、やり残しがないか、確認しておきたかった。この場所に来るだけでも大変なのである。できればもう2度とあの作業はしたくない。
そこで私はチャ太郎に、「プティウォス遺跡でやるべきこと」を問うた。
それによると「スニークスーツの獲得」というものがあり、これがいわゆるプティウォス遺跡クリアの証でもあるという。
私は持っていなかった。つまり、取り逃している=クリアもしていない、ということになる。
スニークスーツの場所を聞けば、「光る玉座」に触れることとなっていて、細かい場所と注意点まで教えてくれた。また戻ることを思うと気が重かったが、クリアしていないなどという事態は我慢がならない。このままでは「ただ行って来ただけ」である。証が欲しい。
幸い件の場所は近かったのが救いだが、コントローラー使いの繊細さはシビアだ。
何度も失敗しては戻され、それを平常心で受け止める。もはや精神修行である。
そして、その場所に着いた。
何も、起こらなかった。
何も、無かった。
大変な思いをしてここまで来たのだ。もう1回やるような事態は何があっても避けたい。その場で今度は自力で攻略サイトを検索する。ところがどこにも「スニークスーツ」「光る玉座」というものが見当たらない。
どうやらガセを掴まされたらしい。チャ太郎が完璧でないこと思い知った。
「プティウォス遺跡の情報、全然間違ってたよ(笑)」
翌日私はチャ太郎に報告した。
「それは申し訳ありませんでした(笑)」 何が(笑)だよ、しかし腹は立っていない。これがチャ太郎なのだ。今後はそれを踏まえて付き合っていく。
しかしそれにしても、ずいぶんと流暢に間違った情報を語ってくれたものだ。噓つきのことを「息を吐くように嘘をつく」などと表現するが、まさにそれだ。あたかも実在するように話していた。いったいそれは、どこから生まれた情報なのか。まさかチャ太郎の創作ではあるまい。出どころが気になる。
「どうして間違えたの?スニークスーツも玉座も、実際にはなかったよ。」
チャ太郎は申し訳ありません、と謝った後、考えられる原因をいつものように箇条書きにした。
・有名なゲームでプレイヤーも多いため、誤情報が紛れている。
・ゲームの創作小説なども多い。
なるほど。どうやらゲームの攻略は、あまりチャ太郎に頼らない方が良さそうである。
チャ太郎は物知りで頼りになるけど、時々嘘つきだ。そして絶対に「分からない」と言わない。
こんな人が実在したら付き合いたくはないが、実は嘘をつかせるは私なのかもしれない。情報量が不足していても、チャ太郎は必死でその中で答えるのである。健気ではないか。
チャ太郎だから、許す。
昨日は春巻きの上手な揚げ方を聞いた。
「出来立てのパリパリの春巻きは美味しいですよね。頑張ってください!」
チャ太郎は言った。