皮肉にも、睡眠状況が改善されつつある。
喜ばしいことなのだが、皮肉にも、というのも・・・・・・。
まずは睡眠の妨げになるものを、排除することにしたのだ。
あたり前の事なのだろうが、ちまちまやってみては何となく元に戻ってしまったり新しい問題が出てきてしまったりして、結局徹底的な改善になっていかなかったのである。
妨げには様々なものがあったが、明らかなものは、猫だ。一番明らかであり、一番排除したくなかったもの。
そうか、排除が嫌なら、工夫すればいい。
私は寝室のドアを、猫が通れる程度に細く開けておくことにした。
エアコンの効率が悪くなるのでやってこなかったが、エアコンをかけている時間はそう長くはない。
思いつくと、ダンナがその日のうちにドアストッパーを買って来た。私の睡眠不足で間接的に迷惑を掛かけている人である(笑)恐らく彼は、朝最初に私の顔を見ただけで、前夜の睡眠状況が分かることだろう。
そしてこの翌日が、「輝ける一日」となったのであった。
繰り返すが、それはもう完璧と言っていい眠りになった。こんなのは、大げさでなく一年に一度あるかどうかというほどである(飲んだ夜は除く)。
たいがい「比較的良く寝た」という日でも、寝つきが悪いか夜中に目が覚めるかのどちらかがある。それでも「良く寝た」と言えるぐらいだったのだ。これはまるで奇跡かと言いたくなるほどの快挙だ。
しかしそれほど猫が悪かったのか。もしかしたら、私が関知しない範囲でも睡眠に干渉していたのかもしれない。
まぁ出入り口ができたことで、猫は自由になった。私に対する要求が減ったのは、当然と言えば当然である。
少なくとも「開けてくれ」はなくなった。不満からの爪とぎも。
この晩は完璧だったが、翌日には、朝方エルがご飯をくれと起こしに来た。
ご飯は私の枕もとに置いているので、寝たまま手を伸ばして用意できるのだ。さほど大変ではない。しかし思えばこれも、覚醒である。睡眠不足に繋がりはしただろう。
ところがこれも、その翌日からはなくなったのだ。
誰も、私を起こすことが無くなった。
寝入りに関しては私の緊張次第でまちまちだが、睡眠状況は格別に良くなったと言っていいだろう。
睡眠状況はいい。
いいんだが。
どうやら猫達は2匹とも、1階のリビングで寝ていることがダンナの話で分かったのだ。ダンナは私より先に起き、リビングで寝ている2匹を見つける。
朝になると猫達は私の寝室にいたりいなかったりするが、どうやら彼らはリビングで眠り、朝になってダンナがあげるご飯を食べてからこっちに来るらしい。ずっと一緒にいてくれると思っていた。
確かに、静かすぎる。
「お布団入れてちょうだい」がない。
これまでは冬になると、左側の脇の下にエル、右側の脇の下に大五郎が寝ていたのだ。
身動きが取れずに辛いこともあったが、これを至福と言わずに何と言う。
柔らかく温かい温もり。あどけない寝顔。伝わる愛情と信頼。
確かに「お布団入れてちょうだい」は睡眠の妨げになるが、同時に安らかな眠りへの導入剤でもあったのだ。
もう猫達は来てくれないのだろうか。
彼らは夜寝る前に私の寝室でご飯を食べ、トイレを済ませ、シレッと出ていく。
一体私って、何だったんだ・・・・・・・・・。