たまの休日ぐらいはいいですよ、お先にどうぞ。そうすればきっとついて行きますからね。
エルは、とにかく2階の寝室で寝たいのだ。リビングのドアが開くのをいつでも待っている。
つまり、先にこのドアを開けた方に、添い寝権が発生するのである。
私はほとんど毎日寝ているのだ。こんなに酔ってしまえば、オバケも怖くないし。
「えぅ~~、今日はピャピャとねんねちようね~EE:AE478」かなんか言って、先に姿を消したダンナであった。
ひひひEE:AEB80
と、思うでしょ。
どうぞ、しばらくは一緒に布団に入るなり腕枕で撫でるなりしてればいい。
ダンナはすぐに寝てしまう。
ホントに、他愛もなく寝てしまう。
つまり、その後のことなど感知できないのである。
どうせ分からないのなら、どうなっても良かろう。
15分ぐらいがベストタイムだろうか。あまり時間をかけると、エル自身も爆睡してしまうのでこの見極めが重要だ。
私も寝る支度をして、2階へ上がる。わざと大きな足音を立てて。
わざと大きな音で鼻をすすり、
わざと大きな音で咳をし、
わざわざ2階のトイレに入り、
大きな音でそのドアを開け閉めし、
コップに入れた氷の音をカラカラ鳴らしながら寝室に行く。
すると、なんということでしょう。
あっちの方から、猫の飛び跳ねる音がするではありませんかEE:AE482
ダンナの部屋のドアの前で、エルがノブに向かって飛んでいるのだ。
開けてくれと。
みゃみゃに会いてゃいと。
あらあらあらあら、仕方がないわねぇ、私はドアを開ける。
するとエルは、弾丸のように飛び出してくるのだ。ボムンと。
こんなにも愛され、求められることは、人間同士であるだろうか。
私は、もしエルが人間だったらと想像してみる。
私に会おうと、開けられないドアを必死で開けようとしている。ちょっと頭が弱いのね、ドアが開けられないの。
そこへ私が登場するのだ。
すると飛び出してくるのである。私目がけて。
こういうのを理性というのか分からないが、普通はまず向かい合って「ああEE:AE595」とか、なんならハグでもするか、とにかく挨拶や儀式的なものから始まるのだろうが、エルは猪突猛進、会いたい気持ちが「突進」させるのである。
そしていつも、その勢いで私の足元を通り過ぎ、寝室まで駆け抜けていく。
人間だったら、これどうなんだろうEE:AEB64お~い、私はここですよ~。
エルはたいがいポカンとして、寝室の入り口かベッドの下あたりで振り向いて待っている。
まぁ考えたところで、エルは猫なのだ。
部屋を出たいと思ったらドアが開いた、その結果ヒャッホーと飛び出して来ただけのことである。
もちろん、引き金は私だ。ここ重要。私が言いたいのは、ここなのだ。
なぜあのように物凄い勢いで飛び出してくるのか。それは、あのスピードに愛が比例しているからなのである。
エルが、猫だからヌケヌケと言えることだ。
やはりエルは猫でいい。
そしてこの晩も、何も知らず朝までひとりダンナはグッスリ寝るのであった。