秋。
あのうだるような重い暑さが少しずつ薄れ、爽やかな風が流れる季節。
空は高く、少しばかり優しくなった太陽が心地良い陽を注ぐ。
春と並んで、好きな季節だ。しかし、夏と冬もこの季節を堪能するためには必要な季節である。
この不条理な世界で、自然の営みだけは変わることなく平等にある。
世の中は、不公平だ。
努力は必ずしも実る訳ではないし、正しく生きることが報われるとも限らない。
悪事を働いてのうのうと生きる輩に天罰なんて下らない、裁くのは法であって、逃げおおせればそれまでの話だ。そして、結局法の裁きなど単なるこの世の行事である。日にちが勝手に消化していくだろう。
どうして、と憤ることに溢れている。
悲しみの、憤りの、怒りのどん底にあっても、太陽は変わらず降り注ぐ。それすら無情だ。
しかし何があっても変わらないのも太陽だ。この不条理の世の中で決して揺るがない自然の営みに、唯一の公平を見る。
これからも、容赦なく不条理の波は押し寄せてくるだろう。
「どうして」、その問いに、答えはない。
答えがないなら、まだ嘆くのは早いかもしれない。
自分の宗教、信念、そんなものを胸に、永遠の時間を手に入れる。
きっと終わらない、そう私は信じたい。