激烈にお腹が空いていた。
今週に入ってからダンナの仕事のシフトが遅番になり、晩ご飯を作る必要がなくなったのだ。
正確に言えば自分の分は必要だが、作りたくなければ作らなくて済むのである。そして私は作りたくない人なので、作るまいと決めていた。
しかしだ、作らなくては「ない」のである。
通常は、晩ご飯を多めに作って残りを翌日のひとり飯に回していた。
しかし多めに作るべき回がないので、夜になると何もないという事態に陥っている。
それでも週明けは、週末の残り物で細々と凌いでいた。豆腐のカイワレがけなど(笑)
翌日は朝から空腹だが、幸い朝は時間がありダンナの分を作らなくてはならないので、久しぶりにまともな朝食を食べるようにはなった。
それでも基本、ひもじい。
観念してイワシを煮たが、それも二日かけて食べてしまった。
昨日も空腹だ。今週に入ってから満腹など無縁、半腹程度を2時間ほどという日々を送っていた。
夕方になると空腹感は募りに募り、市役所に行く用事があったので、その帰りに何か買って帰ることにした。
普段行かないスーパーである。目移りしてワクワクする。
しかし心躍ったのは最初のうちだけで、飢えた狼の如く気が立って来る。
早く早く、どれだどれだ!?
しかしである。
このスーパーは普段使いと違って、「ちょっといいもの・ちょっとお高め」のスーパーだったのである。
食べたい気持ちはやまやまだけど、安く済ませたい。
お惣菜はどれも美味しそうだが、こんなの、自分で作れば半額で済みそうなものばかりである。まぁそれをしたくない人のための手間賃込みなのだろうが。
しかし思い切れる額ではない。
しょうがない、自分で作るか。焼くだけで済むもの。
肉も魚も、いつものスーパーより高くてバカバカしい。
精肉鮮魚の売り場を何往復もして、結局買ったのは、値段で選んだ半額の豚レバーブロック89円であった。我ながら、しみったれている。しかしどうしてもいつもより高い値段で買いたくなかったのだ。意地である。プライドの問題だ。何か別のプライドをなくした気もするが。
帰りの自転車をこぎながら、このレバーをどうしてくれようかと考える。
最低限の手間で、しかし猛烈に腹が減っているのでそこそこ美味しく食べたい。
最初は切って醤油で焼くだけのつもりだったが、考えているうちに欲が出てきてニラと卵を一緒に炒めることにした。
窮鼠猫を噛むというが、私も追いつめられれば調理ぐらいするらしい。
美味しかった。
それは私の腕ではなく、どえらい濃い味だったからと思われる。
レシピがないと往々にしてこういうことになるが、調味料とは素晴らしいものだ。勢い付いて、全部食べてしまった。久しぶりに4分の3腹程度に満たされたのであった。
ということで、今日の分も調理が必要になってしまったのだ。
鶏肉を煮ている。