さぁ、そろそろ寝るとする。
早寝のダンナはとっくにもう消えており、後は私が寝るだけとなっていた。
ダンナは珍しく、エルを置いて行ったのだ。
最近私のところで寝かせているので、そっちに連れていくと出せと鳴くようになってしまったのだ。
最初はしめた!と思ったが、さすがにちょっと気の毒になってきたこの頃である。
この晩も、私はエルを連れて出る。
電気を消してドアを閉めようとすると、残された大五郎がやってきた。
一緒に行こうとドアの前まで来たが、う~ん、君はちょっと・・・EE:AE5B1
夜中に鳴くでしょう!?出たがるでしょう!?
何度も起こされるとしんどいのだよ。
こちらをじっと見つめる大五郎。ニャオン、と切ない一言。
く~、これでは置いて行かれんEE:AE5B1
ご飯を入れてやった。
キッチンに行ってご飯の準備を始めただけで、大五郎はすっ飛んで来る。
単純なのだ。他愛もないものである。
特別でもないいつものご飯を、大五郎は喜んで食べ始める。その隙に私はリビングを出て寝室へ向かう。
切ないEE:AEAC0
まるで世話に困って猫を捨てる時みたいではないか。
実際、エルが捨てられていたダンボールには、離乳食のお皿に乾燥餌が入っていた。
生まれたばかりの子猫に、乾燥餌だ。もはや食べる目的ではなく、死んだときのお供えの如きである。
憤ったが、これでも捨てた人のなけなしの愛情かと思うとそれもまた切なかったものである。
餌を食べ終わった大五郎は、私がいなくなっていることに気づくだろうか。
やられたと思うだろうか。
悲しむだろうか。
多分そんなことはないだろう。
やったのやられたの、悲しいの切ないのなど、猫には必要のない感情である。
それでも何か、しっくりこないものが残るかもしれない。
この頃大五郎は、良く膝に乗ってくるようになったのだ。
夜に生まれる謎の隙間を、埋めようとしているのかもしれない。
私は存分に愛でてやっている。