忙しい時に子供がいう事を聞かずにギャン泣き、などと言う場面は、育児において良くある場面である。
怒っても好転しないとは分かっていても、制御するのはなかなか難しいことだ。
育児とは、辛抱の連続と言っていい。
こんな時に「ひたすら心の中で南無阿弥陀仏と唱えている」という若い母親の書き込みを、ネットで見て笑ったことがあった。
イラ立ちをコントロールできる方法はないものか。
辛抱は、育児だけではない。
老猫ミュウは、21歳。人間だと100歳に相当するらしい。
すっかり痩せてしまったけど、有難いことに元気だ。
しかしどうも、ボケてきている。
ご飯の催促がハンパないEE:AEB64
あげてもあげても、早ければ数分後、遅くとも30分も経てば「ご飯まだかの~EE:AE482」と鳴き始める。
何か食べるか諦めるまで、鳴く。
さっきのがまだ残っていようが、鳴く。3度も同じものが出れば飽きたと、鳴く。
これは結構しんどい。
しかしミュウかて辛いのだ。イラ立つ自分にも腹が立つ。
南無阿弥陀仏などと唱えたところで、気持ちが安らぐことはない。
あぁ何とか心穏やかになれんものか。
そこで思いついたのだ。
イライラしたら、思い切り馬鹿馬鹿しいことを考えるのだ。
思わず笑っちゃうようなことはないか。
ないなら自分で作り出せ!
私は心の中で、エルに阿波踊りを踊らせてみた。
可愛いエルちゃん、ではない。赤塚不二夫風のすっとぼけたエルが、二本足で踊っている。
う~ん、それだけでは弱い。
「ほ!」「ほ!」と片手で洗面器を持って股間を隠しながら、ネクタイを頭に巻いて踊るのはどうか。
時に私は「アラレちゃん音頭」が大嫌いである。アラレ音頭でンチャチャッチャーという死ぬほど馬鹿馬鹿しい歌。
あえてそれを使ってみた。「エルちゃん音頭」だ。ア、ソレEE:AE482
そんなことを考えている自分が馬鹿馬鹿しく、イラ立ちはどこかへ消えた。
これはいいぞ。
こうして私は、ミュウの怒涛の飯コールに対抗する術を思いついたのである。
しかし長くはなかった。エルちゃん音頭。そんなに面白いものではない。鮮度はすぐに落ちた。
他のバージョンを考えなくては。
エルがラッパを吹いている、しかし音が出ないのだ。
一生懸命、やがてムキになって吹きまくるが、どうしても音が出ない。
顔は真っ赤になる。口はラッパに繋がっているが、頬は普段の倍以上に膨らんでいる。
とうとうブーと屁が出た。それでもエルは、吹く。
音が出ない代わりに、頭から角が生えて来た。それはどんどん伸びていく。
そのうち体から、色んなものが出て来るのだ。
何かおめでたいぞ。
それを遠くから武田鉄矢が見て、ビックリしている。
エルは美容院にいる。頭には昔の大きなドライヤーが被されていたが、それが取れなくなって怒っている。
フンムー、フンムー、と両手で何とか取ろうと頑張っているが、スッポリはまって外れないのだ。
こちらから顔は見えない。恐らくあのドライヤーの中で、真っ赤になっていることだろう。
エルとダンナが、フンドシ姿で並んでサウナに入っている。
エルはフンドシの収まりが悪いようで、尻尾は仕方なく前から出している。
ダンナは雑誌「プレジデント」を、エルは「ナショナルジオグラフィック」を真面目な顔で睨んでいる。
読んでいるのかは分からない。二人とも、相当辛そうだ。
自分が先に出るのはプライドが許さない、とふたりとも意地になっているのである。
イマジネーションは、無限だ。これで私は永遠にストレスから解放されるだろう。
ネタが面白い、というよりも、馬鹿馬鹿しいことを考えることで自分の置かれている場所を違う場所へと持って行く感じである。
虐待されている子供は、暴力を受けながら楽しい空想をしていることがあるという話を聞いたことがあるが、それに近いかもしれない。
齢100にしてこの食欲。有難いことではないか。
私もサポート、頑張りますEE:AE5DD