人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

その部屋のシュードラ

「ワンモアセッ!!」

イエス、ビリー隊長!!

 

ワン、ツー、スリー、フォー、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、・・・・・・・・カシーカシー、・・・・・・・・カシーカシー・・・・・・・・・カシーカシー・・・・・・・・・カシーカシー・・・・・、

ちょっ、隊長、タンマEE:AE5B1

 

本当に油断ならない。

この頃エルは、ビリーズブートキャンプをやっていると私が熱中していることを覚えたようで、床にEE:AE4F5をしてしまうのだ。

彼女にとってトイレはトイレ前の床であり、トイレは肥溜めなのである。

私に怒られることに納得などしていない。だから隙あらば床にしてしまうのである。

 

しかし本能のまま生きる動物に、理性や計算はない。習慣で床を掘るので、そばにいれば音で分かる。

なのでこうしてDVD(ホントはYouTube)を止めて、威嚇することができるのだ。

名前を呼んで、目を凝視する。

猫の世界で相手の目を見つめる行為は、敵意を示すことになるという。

エルもこっちをしばらく見ていたが、分かる。あれはたじろいでいる。

本能のまま生きていても、学習はするのである。

床にEE:AE4F5をすれば、ぽ子に怒られる。

 

エルは目をそらし、嫌そうに、本当に嫌そうにトイレに入る。熱湯風呂にでも入るように、抜き足差し足で。

しかしコトが済むまでは、鬼が見張っているのだ。観念する。

 

その後の変わり身の早さったらないよEE:AEABFなぜなら、ちゃんとトイレができたらご褒美が貰えるのである。私は鬼ではない。

他の子たちに見えないように、お風呂場へ行く。ちゃんとエルも風呂場の前で待っている。

ご褒美は、おやつサイズに小分けされたドライフードだ。

その小袋を出そうと、中袋を逆さにする。

 

EE:AEB64

 

ない(笑)

 

どうしよう、もうエルは足元でお座りしてじっとこっちを見ている。

ここで裏切ると、床糞率が上がってしまうのではないか。

どうしよう、どうしよう、何か代わりになるものはないか。

キッチンに戻り、猫の缶詰や小物の入っている小箱の中から「スープ」を持って来た。

これしかない、これも一応猫のおやつだが、大五郎の大好物のスープである。

戻るとエルはじれて足にまとわりついた。

すでに大五郎は「スープの入った小箱」から「スープ」が持ち出されたので、風呂場の向こうで鳴いている。

ええい、許せ大五郎、でもエル、こんなん食べたっけなぁ??

 

食べましぇ~んEE:AEB64

どうしよう、どうしよう、もっと他に何かなかったっけ??キッチンの「スープの入っていた小箱」に戻る。

入れ違いに大五郎が入ってきて、スープを舐め始める。

 

ううっ、スープならいくつかあるのに、他に食べるものはない。

仕方ない、食べ物じゃないけど、ごまかればいいのだ。

その小箱の奥には、マタタビの小枝がたくさん袋に入っていた。

そこから1本取り出して、エルに与える。

エルは喜んでそれを弄び始めた。

 

ホッEE:AE4F4今後はご褒美を切らせないように、常に在庫を確保しておかなくては。

それにしても、あのチビエルが今やマタタビとはねぇ、大人になったもんだ。

 

やがてスープを飲み終わった大五郎が戻ってきて、マタタビに戯れているエルを見つける。

無邪気な大五郎は、「おっ、ちっちゃいねーちゃん、何だよそれ」と首を突っ込む。

エルは一応大五郎よりねーちゃんではあるが、体が小さいからか、我が家の猫世界では最下層であった。

大五郎を認めるとパッとマタタビから離れ、大五郎からも離れていった。

このようにエルは、自分より上位の者に全てを譲らなくてはならないのである。

 

大五郎がハグハグとマタタビに噛み付く音で、今度は先住姉妹のミュウが目を覚ましてキッチンにやってきた。

あれがマタタビだと気づいているのかどうか、とにかく自分にも何かくれという顔をしている。

仕方ない、私は「マタタビの入っていた小箱」からマタタビの小枝をまたひとつ出し、ミュウに与えた。ミュウはひっくり返って喜んでいる。

 

その気配で今度はラッキーがやってきた。

ラッキーはミュウより上位である、当たり前のようにミュウの小枝を取り上げた。

仕方がないので私はまた「マタタビの入っていた小箱」からマタタビの小枝をもうひとつ出し、再びミュウに与える。

 

3匹の猫が思い思いにラリッていた。エルだけがシラフである。

可哀想なので私はエルを物陰に連れて行き、そっとまた別のマタタビの小枝をあげた。

エルは全く関心を示さなかった。

最下層だが気位は高いのか、一度こういうことがあると、拗ねたように相手にしてくれないことがあるのだ。

 

すみませんね、エルさま、ご希望に添えなくて。

この部屋にいる中での最下層は、実はこの私なのかもしれない。