「ワンモアセッ!!」
イエス、ビリー隊長!!
ワン、ツー、スリー、フォー、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、・・・・・・・・カシーカシー、・・・・・・・・カシーカシー・・・・・・・・・カシーカシー・・・・・・・・・カシーカシー・・・・・、
ちょっ、隊長、タンマEE:AE5B1
本当に油断ならない。
この頃エルは、ビリーズブートキャンプをやっていると私が熱中していることを覚えたようで、床にEE:AE4F5をしてしまうのだ。
彼女にとってトイレはトイレ前の床であり、トイレは肥溜めなのである。
私に怒られることに納得などしていない。だから隙あらば床にしてしまうのである。
しかし本能のまま生きる動物に、理性や計算はない。習慣で床を掘るので、そばにいれば音で分かる。
なのでこうしてDVD(ホントはYouTube)を止めて、威嚇することができるのだ。
名前を呼んで、目を凝視する。
猫の世界で相手の目を見つめる行為は、敵意を示すことになるという。
エルもこっちをしばらく見ていたが、分かる。あれはたじろいでいる。
本能のまま生きていても、学習はするのである。
床にEE:AE4F5をすれば、ぽ子に怒られる。
エルは目をそらし、嫌そうに、本当に嫌そうにトイレに入る。熱湯風呂にでも入るように、抜き足差し足で。
しかしコトが済むまでは、鬼が見張っているのだ。観念する。
その後の変わり身の早さったらないよEE:AEABFなぜなら、ちゃんとトイレができたらご褒美が貰えるのである。私は鬼ではない。
他の子たちに見えないように、お風呂場へ行く。ちゃんとエルも風呂場の前で待っている。
ご褒美は、おやつサイズに小分けされたドライフードだ。
その小袋を出そうと、中袋を逆さにする。
ない(笑)
どうしよう、もうエルは足元でお座りしてじっとこっちを見ている。
ここで裏切ると、床糞率が上がってしまうのではないか。
どうしよう、どうしよう、何か代わりになるものはないか。
キッチンに戻り、猫の缶詰や小物の入っている小箱の中から「スープ」を持って来た。
これしかない、これも一応猫のおやつだが、大五郎の大好物のスープである。
戻るとエルはじれて足にまとわりついた。
すでに大五郎は「スープの入った小箱」から「スープ」が持ち出されたので、風呂場の向こうで鳴いている。
ええい、許せ大五郎、でもエル、こんなん食べたっけなぁ??
食べましぇ~んEE:AEB64
どうしよう、どうしよう、もっと他に何かなかったっけ??キッチンの「スープの入っていた小箱」に戻る。
入れ違いに大五郎が入ってきて、スープを舐め始める。
ううっ、スープならいくつかあるのに、他に食べるものはない。
仕方ない、食べ物じゃないけど、ごまかればいいのだ。
その小箱の奥には、マタタビの小枝がたくさん袋に入っていた。
そこから1本取り出して、エルに与える。
エルは喜んでそれを弄び始めた。
ホッEE:AE4F4今後はご褒美を切らせないように、常に在庫を確保しておかなくては。
それにしても、あのチビエルが今やマタタビとはねぇ、大人になったもんだ。
やがてスープを飲み終わった大五郎が戻ってきて、マタタビに戯れているエルを見つける。
無邪気な大五郎は、「おっ、ちっちゃいねーちゃん、何だよそれ」と首を突っ込む。
エルは一応大五郎よりねーちゃんではあるが、体が小さいからか、我が家の猫世界では最下層であった。
大五郎を認めるとパッとマタタビから離れ、大五郎からも離れていった。
このようにエルは、自分より上位の者に全てを譲らなくてはならないのである。
大五郎がハグハグとマタタビに噛み付く音で、今度は先住姉妹のミュウが目を覚ましてキッチンにやってきた。
あれがマタタビだと気づいているのかどうか、とにかく自分にも何かくれという顔をしている。
仕方ない、私は「マタタビの入っていた小箱」からマタタビの小枝をまたひとつ出し、ミュウに与えた。ミュウはひっくり返って喜んでいる。
その気配で今度はラッキーがやってきた。
ラッキーはミュウより上位である、当たり前のようにミュウの小枝を取り上げた。
仕方がないので私はまた「マタタビの入っていた小箱」からマタタビの小枝をもうひとつ出し、再びミュウに与える。
3匹の猫が思い思いにラリッていた。エルだけがシラフである。
可哀想なので私はエルを物陰に連れて行き、そっとまた別のマタタビの小枝をあげた。
エルは全く関心を示さなかった。
最下層だが気位は高いのか、一度こういうことがあると、拗ねたように相手にしてくれないことがあるのだ。
すみませんね、エルさま、ご希望に添えなくて。
この部屋にいる中での最下層は、実はこの私なのかもしれない。