2月4日。ラッキーの命日だ。あれから一年。
一年前の今日、まだラッキーは生きていた。そして、まさかこの晩に死んでしまうなんて、思いもしなかった。
腎不全末期だ。もちろん、もう長くはないことは分かっていた。
日々、緩やかに、終わりに向かっていることは感じていたが、それがまさか「今日」になるなんて、どんな朝にも思ったことはない。
19歳だ。良く生きてくれた。納得はしている。
「死んだ」のではなく「先に行った」と考えるようになったので、今はそれほど悲観していない。
それでも、たったひとりで先に行かせてしまったことが、本当に可哀想でならない。
名前を呼ぶだけで喉を鳴らすほど、懐いていたのだ。
特別手をかけた訳でもないが、彼女はこの生活を、私達を、愛してくれていたことだろう。
もうこの世界で一緒に暮らすことは、二度とない。
残ったミュウや大五郎、エルと暮らせるのも、これが最初で最後なのである。
ダンナと暮らすのも、ぶー子という家族がいることも、仲間達とバンドをやるのも、これっきりだ。
生きることの儚さというか有り難さのようなものを、ひしひしと感じるようになったこの頃である。
現代の日本と言う恵まれた環境下に生まれ、その甘い汁だけを享受してきた人生であった。
何も生かさず何も残さず終わっていくだろうが、せめて猫達の記憶にいい思い出として私の存在が刻まれてくていればと思う。
ほとほと頑張れない人間である。
しかし、生きるだけでは足りないというのだろうか。私は十分幸せである。
猫並だ。欲をかかないと言えばきれいな言い方だが、私はこれで十分なのである・・・・・。