また急に、寒さが戻ってきた。
私も寒いが、猫も寒い。
「湯たんぽ、あっためて~EE:AEB30」と、ミュウは鳴いてせがむ。
おねだり上手だ。
彼女が鳴くときには、必ず何がしかの要求がある。
レンジで温める湯たんぽを、ダンボールで作った専用ベッドに入れてあげると、大人しく丸くなって眠る。
しかし次に見ると、そこには大五郎が寝ているのだ。
「ちょっとEE:AEB30」
もしかしたらミュウは、このぬくもりを死んでしまったラッキーだと思ってるかもしれないじゃないか。君は遠慮したまえ。大五郎をどかして、ミュウを入れてやる。そして大五郎用にも湯たんぽを温めてやる。
レンジがチンと鳴って、アツアツの湯たんぽを別の猫ハウスへ、・・・あれ?なんでミュウは起きてるんだ?
ミュウのベッドを見ると、もう大五郎が悠々と寝ているのだ。だんだん腹が立ってくる。
私は温めたばかりの湯たんぽを、今は誰も寝なくなった猫ハウスに入れ、そこに大五郎を突っ込んだ。
大五郎はすぐに嫌がって出てきてしまった。ここが温かいという認識がまだないからだろう。
ミュウを再びベッドに入れると、こちらはすぐに丸くなった。自分でねだって入れたぐらいだ。お気に入りなのである。
しかしこの安息は、いつまで守られるのか。
私は見張っていた。
するとすぐに大五郎がやってきて、手でつついてミュウをどかしたのである。
これまでは、一緒に寝ようとして逃げられるという可哀想なパターンだったが、こんな事してどかしてたんかいEE:AE482
ますます腹が立ち、私は大五郎を叱って、新たに湯たんぽを入れた方の猫ハウスに突っ込んでやる。
ところがしばらくして見ると、結局大五郎がミュウのベッドを占拠し、ミュウは困惑したように佇んでいた。
負ける・・・。この勝負、勝ち目がない気がしてきた。
悔しいが、大五郎をどかすことに固執すると、正しいゴールにたどり着けない気がしてきた。
正しいゴール。
それは、「それぞれが決まった場所で寝ること」ではなく、「それぞれが温まること」ではないか。
私はボーッとしているミュウを、空いている猫ハウスへ入れてみた。
一時期自分も寝ていた場所だったからか、案外すんなり寝てくれたので、コトは丸く収まったのであった。
ところがだ。
しばらくして見てみると、今度は大五郎が猫ハウスの方で寝ているのである。はぁEE:AEB2F
ミュウはミュウで、もともと寝ていたベッドの方で寝ていた。
どうも大五郎は、他人の芝生を手に入れないと気が済まないようである。
しかしこれでこの場所も温かいと認識したようで、その後はずっとここから離れなくなった。
大五郎よ、このハウスが一番いい環境なんだぞ。
モコモコのクッションが敷かれ、3方は柔らかい壁に囲まれている。
不思議とラッキーが死んでしまってから、ミュウはここで寝なくなってしまったのだ。
君にちょうどいいと常々思ってたんだよ。
柔らかいクッション材でできたハウスは、大きな大五郎の重みで傾いていた。
センスがなくて、お恥ずかしい。手作り感満載の、猫ベッド。